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対立を解決するリーダーは組織によい影響を与える
職場における対立の解決は、リーダーにとって必要な仕事だが、往々にして不快な役割でもある。対立の火種は、日々の仕事量をめぐる揉め事から、ビジネス上の重要な交渉までさまざまではあるものの、どの場合も、リーダーは幾重にも重なる感情をコントロールして、隠れた問題を掘り起こし、不測の事態に直面しても素早く検討することが求められる。これらは、キャリア全体とまではいかずとも、何年もかけて身につく貴重なスキルだ。
やっかいな状況でも、リーダーが粘り強く、機転を利かせて、おおらかに交渉に臨む能力を示せば、チームのコラボレーションや共感、そして生産性を促進することができる。筆者がケンブリッジ大学で米トゥルースコア(コロラド州デンバーに本社を置くリーダーシップ評価会社)と、4万人のエグゼクティブを調査したところ(結果は未発表)、仕事で対立が生じた時、交渉役として頼りになるリーダーがいることは、組織全体にプラスの影響を与えることと最も相関関係が強かった。
そこで本稿では、筆者自身が重要かつ難しい対立を交渉によって解決した際に取った、シンプルなプロセスを紹介したい。
3段階の交渉術
筆者はある時、自分が運営するポッドキャストの所有権をめぐる交渉で膠着状態に陥った。まず、番組の権利の3分の1を持つ制作会社が、その持ち分を手放したいと言ってきた。そこで筆者はみずから買い取りたいと申し出て、先方の売却希望額を聞いた。だが、そこから先は、何カ月も交渉が行き詰まってしまった。双方にとってよい話に思えるのに、なぜ交渉がまとまらないのか、筆者には理解できなかった。そこで最後の手段として、先方に直接交渉を申し入れるべく、次のような質問をメールで送った。