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戦略立案ではなく、戦略セラピーを実施せよ
今年も年次戦略を立案する季節がやってきた。ほとんどの企業にとって、このプロセスは見るのも嫌なものだ。予算の奪い合いや縄張り争いで、感情的な議論が展開される。マーケティング部門は、よその部門が「専門家」として知恵を披露するのを不快そうに眺めている。営業部門は「ストレッチ目標」などという言葉を聞いて、あきれたように首を振る。そしてどの事業部も、自分たちこそ選ばれし存在だと信じている。
この毎年恒例のプロセスに膨大な時間とリソースが投じられることは、誰もが理解している。多くの決定は、非公式な会合や会議前後の打ち合わせで下されることを知りながら、従業員はいくつもの会議に出席する。CEOは、損益計算書と株価を無視しては何も決められないのを知りながら、チームが予算争いをし、なだめ合うのを見守っている。
こうした問題を解決するために、戦略立案ではなく戦略セラピーを実施してみてはどうだろうか。
戦略立案とは、市場に焦点を当てた、合理的かつ外部的な分析作業だ。年次戦略の立案をより健全で生産的なプロセスにするカギは、分析を追加することではなく、正直さを増すことである。戦略セラピーとは、自己認識に焦点を当てた、感情的で内面的な作業を指す。ここで言っているのは、チームビルディングやトラストフォール(仲間が支えてくれることを信頼してわざと倒れるゲーム)といった伝統的な意味でのセラピーとは異なる。透明性を高め、より真実を追求する道のりだ。戦略セラピーでは、戦略立案と同じタイプの分析や枠組みを使うが、リーダーが好まない困難な議論を強いられる。