燃え尽きずに、大勢の部下のメンターになる方法
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サマリー:部下をはじめとした経験の浅いメンバーへのメンタリングは、非常にやりがいのある活動だ。しかし、膨大な時間が必要だったり、挫折感を感じたりすることで、燃え尽きてしまうリスクもある。メンターシップを賢く構築... もっと見るし、適切に管理することで、これらの課題を克服することは可能だ。本稿では、優れたメンターとして活躍し、組織内での評価を高めるための5つの戦略を紹介する。 閉じる

メンタリングで消耗していないか

 キャリアが前進すると、さまざまな恩恵がもたらされることがある。たとえば、専門知識が増えれば、人々に指導や見解を求められる機会も増える。講演をしたり、リーダーシップの役割を果たしたり、重要な意思決定に参加したりする機会も多くなる。そしてほどなく、職業人生の第一歩を踏み出したばかりの人たちからメンターになってほしいと言われるようになる。

 しかし、時が経つにつれ、メンタリングの依頼が殺到するあまり自分の仕事に集中できなくなったり、消耗したり、時にはバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥ったりする場合もある。メンタリングに尽力していることが組織に認識されていないケースでは、特にそのような状態になりやすい。これは、同じ人種や性別の人が高い地位に就いていない、少数派に属する人々の間で特に目立つ傾向である。

 職場でメンタリングの求めに応えつつ、しかも、それによる燃え尽きを避けるためには、具体的な戦術が必要だ。本稿では、学部生、大学院生、博士課程の研究生、若手教員を指導した筆者らの長年の経験に基づく5つのソリューションを紹介する。筆者らは、それらの経験をもとに、グループ単位のメンタリングプログラムを創設した。以下の5つの方法論は、あなたのキャリアにおいてメンタリングをより効率的に、そしてより持続可能な形で行うために役立つだろう。

(1)メンタリング対象者をグループ単位で活動させる

 同時に大勢の人たちにメンタリングを行う場合、メンターは一人ひとりの面倒をすべて見なくてはならないと感じやすい。しかし、対象となる人の数が増えれば、その負担は計り知れない。この問題にうまく対処するには、メンタリング対象者を3~4人程度のグループに分ければよい。それぞれのグループはさまざまな経験レベルのメンバーによって構成するものとし、メンバーの中で最も経験が豊富な人物をリーダー役にする。