ハイブリッドワークに否定的な上司を説得する5つの手法
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サマリー:いまや働き方の柔軟性は、給与に次ぐ重要な要素だ。しかし、在宅勤務での生産性に対する経営者側の懸念や、彼らのスタンスが不明確であるために、従業員はフレキシブルな働き方への転換を切り出せずにいる。本稿では... もっと見る、従業員がハイブリッドワークへの移行を目指し、経営者に自信と敬意を持って交渉するための5つの戦略を概説する。 閉じる

働き方の柔軟性を獲得するための戦略

 国際的な非営利団体のコンファレンス・ボードによると、今日の労働者にとって職場のフレキシビリティ(柔軟性)は、給与に次いで最も重要な要素だ。

 在宅勤務とオフィス勤務を使い分けるハイブリッドワークを通して、仕事の比重が適正化される。フレキシブルに働くことで、人々は運動など個人的な目標を優先し、家族との時間を増やすことができる。これは重要なポイントだ。ピュー・リサーチセンターの調査によれば、米国の成人の73%が家族との時間は人生で最も重要なものの一つであると答えているのだから。

 職場のフレキシビリティは、個人にメリットがあるだけでなく、職場の多様性にも有効だ。女性や若い世代は柔軟な働き方を求める傾向が強く、雇用主にとっても、多様な人材を採用し、職場の公平性とウェルビーイングの向上を目指すうえで、柔軟な働き方は魅力的な提案となる。

 しかし、オフィス復帰の義務化が進むなか、ハイブリッドワークは感情的で複雑なトピックになりかねない。スタンフォード大学の調査から、ハイブリッドワークは通常、労働者の生産性に影響を及ぼさないという結果が出ているものの、在宅勤務では従業員の生産性が上がらないと感じている経営者もいる。こうした懸念や、ハイブリッドワークに対する雇用主のスタンスがわからないため、従業員はなかなかフレキシブルな働き方に転換したいと切り出せずにいる。

 次のようなシナリオを考えてほしい。