「積極的な休止」が有効な3つの状況
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サマリー:競争の脅威に直面した時、マネジャーは何かをしなければならないという気持ちに駆られる。何かをすることは、何もしないことよりも積極的な行動であるため、より有効性が高いと感じられるからだ。しかし、そのような... もっと見る場合に戦略的に立ち止まることが理にかなっていることも多い。本稿では、「積極的な休止」が利益を生む可能性がある3つのケースを紹介する。 閉じる

先の見通しが立たない時、戦略的に立ち止まれるか

 変化の激しい時代には、躊躇していては成功できないと常識のように考えられている。材料科学の目覚ましい進歩、革新的なビジネスモデルの出現、消費者の行動パターンの変化、AI(人工知能)の普及といった展開を目の当たりにして、多くの企業幹部は不安を感じている。いまただちに後れを取り戻すことができなければ、ライバル企業に先を越されてしまい、向こう20年間市場から締め出されると心配しても不思議でない。

 このような不安を抱くのは重要なことだ。しかし、時には、すぐに行動しないことが好ましい結果につながるケースもあるのではないか。筆者らは以前の著書『望む未来を創り出せ』で、行動することに前向きな基本姿勢を持つ重要性を説いた。しかし、行動に前向きであることと、手当たり次第行動することはイコールではない。

 今日のように、不確実性が高まっている時代には、戦略的にあえて躊躇すること、言ってみれば「積極的な休止」(active pause)により、利点が生まれる可能性がある。このような時期には、もしかすると減速することが最善の選択なのかもしれない。「積極的な休止」がとりわけ有効性を発揮する可能性があるのは、以下の3種類の状況だ。

「積極的な休止」が恩恵をもたらす状況とは

商品やサービスを提供する市場について理解を深めたい場合

 このパターンでは、いわゆるアジャイルムーブメントを実践し、実験と学習を繰り返すこと、つまり小規模な実験を設計・実行することを繰り返して地道に前進する能力が必要である。