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更年期の従業員に効果的な支援を行っている事例
アンドレアが更年期(閉経周辺期とも呼ばれる)の症状を自覚し始めたのは48歳の時のこと。筆者らは、アンドレアの勤務先だったワシントンDCの国際開発NPOで彼女と知り合ったのだが、その職場ではスタッフの半数以上が女性だった。またアンドレアには更年期障害の知識が十分にあり、手厚い健康保険にも加入していた。それでも彼女は、更年期を迎えた多くの女性と同じく、孤立と孤独を感じていた。
アンドレアが更年期に直面したのは、一家の大黒柱として働き、自分一人で子どもと両親のケアを担っているタイミングだった。彼女と同じような経験をしている女性は増え続けている。「乗り越えてみせると自分に言い聞かせました。つらいけれど、もっとひどい経験にも耐えてきたのですから」と、アンドレアは語った。「ホットフラッシュが起きたら会議を抜け出し、圧倒される気分に襲われたら、その場を離れました」
そして彼女は、更年期の渦中にいる女性が口癖にしている言葉を口にした。「一番嫌なのは、(更年期の症状に)これ以上注目が集まったり、自分を弱いと感じたりすることです。自分には力があるという感覚をこれ以上失いたくないのです」
数十年にわたる出生率の低下と長寿化によって人口動態が変化してきた影響で、世界中で労働市場と経済の再構築が驚くべきスピードで進んでいる。その結果、組織はあらゆる年齢層の労働者を採用し、維持する方法を迅速に展開する必要に迫られ、新たな政策や福利厚生の開発も始まっている。
筆者の1人がCEOを務めるヒューマン・チェンジでは、官民のさまざまな組織のリーダーと協力し、包括的成長の支援や、更年期女性を含むあらゆる労働力を取り込む環境の構築を通して、人口動態の変化という課題の解決に取り組んでいる。