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バーンアウトの要因として同じものは一つもない
「問題はあなたではなく、あなたの仕事にあるのです」。コーチングのクライアントやワークショップの参加者からバーンアウト(燃え尽き症候群)を打ち明けられた時、筆者はよくこの一文から会話を始める。多くの場合、クライアントは、バーンアウトの特徴であるエネルギーの低下やモチベーションの低下、仕事のパフォーマンスの低下に苦しんでいるだけではなく、職場関連のストレスやバーンアウトが自分のせいであるかのように思い込み、不要な罪悪感や羞恥心を抱いている。
しかし、バーンアウトは、主に職場で起こる心理的に有害な要因がもたらす結果であることが研究によって明らかになっている(つまり個人の問題であるだけでなく、組織の問題でもあるのだ)。もう少し具体的にいうと、従業員が自身のウェルビーイングを手にして最高の仕事をするために必要な条件と、組織が実際に提供する条件との間にミスマッチが続くと、バーンアウトが引き起こされる。たとえば、仕事量に対処するのに必要なリソースや時間が与えられていないことや、コントロール感が得られなかったり、自律性が低かったりする環境で仕事をすることが、バーンアウトの引き金になることがわかっている。
筆者は研究者およびエグゼクティブコーチとして、この心身を衰弱させる症候群を職場で経験した、さまざまな業界の何百人もの人々と接してきた。慢性的な職場のストレスの原因を突き止めて、リーダーに問題の是正を訴えられるようになる人もいれば、必要な時間を取って心の均衡を取り戻し回復する人もいる。だが、自分の体験が自分の想定するバーンアウトの特徴に当てはまらないため、あるいは過去には効果的であっても現状には合わない方法で職場のストレスに対処しているため、危険ゾーンへと進んでいる兆候に気づかない人もいる。バーンアウトの体験には一つとして同じものはなく、回復するには、ストレスをもたらしているその職場に固有の条件を正確に把握する必要がある。
その方法の一つは、自己認識のスキルを活用して、バーンアウトの体験があなたに何を伝えようとしているか、実は何をずっと伝えようとしてきたのかに気づき、理解することだ。本稿では、バーンアウトが明らかにする、重要だがあまり知られていないメッセージと、その対処法を紹介しよう。
いまの仕事で役割を終えている
能力を超えた仕事の要求がバーンアウトの原因になることはよく知られているが、能力が活かされないことが続いたり、努力がふさわしい状況に適用されていないと感じたりする時にも、仕事のストレスが生じる。もし常に気持ちが落ち着かない、退屈する、目標が見えない、身が入らない、仕事への意欲が湧かないという状態が続くのであれば、あなたは現在の役割を卒業して、キャリアの次の局面に進むべき段階に来ているのかもしれない。