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意思決定に関わる情報「インテリジェンス」の重要性
あなたは大手テクノロジー企業のCEOで、COOが新規投資の可能性を探るためにアジアで現地調査を行っているとしよう。あなたの会社には、次のようなニーズがある。
(1) 現地で視察中のCOOを保護するセキュリティプロバイダー。
(2) ビジネスを促進する、あるいは危険にさらす可能性のあるセキュリティや地政学的状況など相手国の評価。
(3) 潜在的なパートナーに関するより深い理解。
多国籍企業は事業の地政学的およびセキュリティの状況を理解するために、社内チームを補完する、またはそれを代替し意思決定に必要な情報「コーポレートインテリジェンス」を提供してくれるベンダーを頼りにしている。「ベンダーを通じて、自社のチームの人員を増やし、リアルタイムでサポートとインテリジェンスの提供を受けることができる」と、セールスフォースやウォルト・ディズニーでコーポレートインテリジェンスに携わり、この分野の研究で博士号を取得したアンジェラ・ルイスは言う。
意思決定に関わる情報を収集、提供するインテリジェンスベンダーの需要はかなり大きく、増加し続けている。世界的なサイバーセキュリティの脅威に関するインテリジェンスは2022年に推定49億3000万ドル規模の産業に成長し、米国のセキュリティサービスは481億ドルという巨大市場になった。地政学的およびセキュリティ関連のリスクインテリジェンスは、数字化されていないが、必要不可欠な領域であり、急速に成長している。
しかし、インテリジェンスベンダーがあなたの会社のニーズやリスク許容度、倫理観と一致しているかどうかを、どのように判断すればよいのだろうか。ビル・ゲイツの個人事務所の身元調査を引き受けていたベンダーが求職者に不適切な性的質問をしたとされる出来事や、英国の企業がフェイスブックのユーザー数百万人の個人データを収集していた件など、ベンダーが恐怖を煽るトップニュースになってしまったら、何が起きるのだろうか。
筆者らはハーバード・ケネディスクールのベルファー科学・国際問題センターの「インテリジェンスプロジェクト」で、コーポレートインテリジェンスの専門家が仕事の情報源として認める70のベンダーのデータベースを設計した。これらの企業は170以上の国で活動し、265件の地政学的およびセキュリティサービスを提供している。このダイナミックなエコシステムの系統的な分析から、企業の意思決定者がベンダーから得られるものを最大化するために重要な4つの検討事項がわかった。