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直属の上司と自分の間に、新たに管理職が設置された時
急成長中のハイテク新興企業で人事部長を務めるサンドラは、従業員を100人から200人に増やす規模拡大に尽力していた。人事部門の最高位のプロフェッショナルである彼女は、CEOとは互いに尊重し合う関係だった。サンドラとCEOは、数カ月前から従業員の福利厚生プログラムの導入、オンボーディングの見直し、新たなリモートワークの方針の検討など、会社の拡大計画について議論していた。サンドラは、会社の将来に重要な役割を果たし続けることに興奮していた。
しかし、次の1on1ミーティングで事態は一転した。CEOが、新たな役員体制を導入し、さらなる拡大のためにチーフ・ピープル・オフィサーを導入すると明らかにしたのだ。CEOはこう説明した。「あなたの仕事は非常に貴重ですが、以前から経営幹部の役割を担ってきた人物が必要です。これはあなたの能力とは関係なく、現段階で必要な幅広い経験を会社にもたらすためのものです」
サンドラは、心の底ではCEOが正しいとわかっていたが、それでも自分の上に誰かが就くという現実に頭を悩ませた。自分の役割はどうなるのか。責任は減るのか。CEOとのつながりは維持できるのだろうか。
サンドラが経験したのは「レイヤリング」というもので、自分と現在の直属の上司との間に新たな管理職が入る状況だ。基本的には、誰かが自分の直属のポジションに採用されたり昇進したりすることを意味する。その人が新たな直属の監督者となり、これまでの上司に代わってその人に報告をすることになる。
成長中の企業では、レイヤリングの経験は避けられず、一般的なことだ。業務の複雑さが増すにつれて、チーム構造も適応していく必要がある。末端の従業員を雇い続けることはできないのだ。サンドラのケースのように、より高いレベルの専門知識や、経験豊富なリーダーシップを取り入れなければならない。
レイヤリングは概して、会社にとっては戦略的な動きだが、自分の身に降りかかると、驚き、混乱、フラストレーション、憤り、さらには不安など、さまざまな感情が交錯する。本稿では、そうした反応に対処し、新しい体制の中で生産的に前に進む方法を紹介しよう。
理由をとらえ直す
あなたがどう感じようと、レイヤリングは降格とイコールではない。それは通常、組織の規模拡大や成熟の結果であり、あなたの仕事に対する評価ではない。この状況があなたにとってどう不利になるかではなく、どう役立つかを考える。実際、より熱心な指導やガイダンスを受けることができるかもしれない。上級幹部の中でも、その専門知識が買われて外部から採用された幹部は、特に直属の部下が少ないことが多く、一人ひとりの成長に多くの時間とリソースを割くことができる。