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経営陣の足並みが揃わない弊害は極めて大きい
「大晦日に、1年間の素晴らしい業績を祝って、経営チームでシャンパンを飲んでいるとする。会社が成し遂げたことは何だろうか。その成功をどのように測っただろうか」
この「シャンパンの質問」は、当社がよくクライアントと戦略策定プロセスを始める際のヒアリングで、最初に尋ねる質問である。当社は30年以上にわたって、フォーチュン500から、ドイツ経済を担うミッテルシュタンド(中小企業)、非営利団体まで、世界中の何千人もの経営幹部や取締役会メンバーに同じ質問を投げかけ、1年先から10年先の成功を定義するよう求めてきた。
その回答からは、一貫して驚くべき真実が明らかになる。つまり、大半の企業経営陣が何を成功と呼ぶかについて一致した考えを持っていないのだ。実際、何が「シャンパンを開ける」に値するのか、完全に一致した見解を持つチームにはまだ出会ったことがない。最初は、売上高や収益性のような基本的な指標に回答が集中することはあるが、それぞれの「シャンパンを開ける」理由について語らせると、顕著な違いが現れるのだ。
どのような企業であれ、将来にわたるビジョンの共有が、戦略的方向性を一致させる上で極めて重要であることは、周知の事実である。戦略上の不協和、政治的反目、非効率な資源配分、意思決定のマヒ、市場変化への反応の鈍さなど、足並みが揃わない場合の弊害は大きいのだ。
いまこそ、今年や将来にシャンパンを開けるような成功とはどのようなものかを経営チームで定義する、絶好のタイミングではないだろうか。本稿では、成功を定義するこの話し合いの準備と進め方を紹介したい。
話し合いの前に
成功とは何かを話し合うには、事前準備が必要だ。事前に行うべきステップは、以下の2つである。