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プライベートエクイティの取締役会が重視する指針
上場企業の取締役会は、この10年間にかなりのアップグレードを果たしてきた。多様性が大幅に増し、リスク管理に重点を置くようになり、企業が環境に与える影響に気を配るようになった。
だが、その他の点では、かつて注目を集めたペン・セントラル鉄道の破綻後、現代的なガバナンス・ルールが初めて制定された50年前から、不可解なほど変わっていない。社外取締役は、基本的にいまでも四半期に一度、取締役会に出席し、戦略を承認し、リスクを議論し、5年に一度ほど次期CEOを選んでいるだけだ。
企業を取り巻く環境がこれほどまでに変化していることを考えれば、それはおかしくないだろうか。
この「社外取締役=監督機能」のアプローチは、プライベートエクイティ(未公開株投資会社)の世界における取締役のあり方とは大きく異なる。プライベートエクイティ企業が投資先企業に取締役会を設置する時は、はるかに起業家的なガバナンス体制を構築する。プライベートエクイティの所有者は、社外取締役(元CEOの人が多い)が経営陣と密接に協力し、変革や成果を効率的に推進できる協働モデルの価値を認識している。また、プライベートエクイティ企業は、株式公開していないため、米国の市場監視機関であるSECが上場企業に求めるような官僚的・事務的手続きに時間を費やさずに済んでいる。
具体的には、プライベートエクイティ企業の取締役会は以下のような指針を重視している。
1. 会社の戦略はレビューするだけでなく、立案に関わること。
2. 信頼されるのを期待するばかりでなく、みずから築くこと。
3. 企業文化は評価するのではなく、その形成に尽くすこと。