DEIの重要性は予算がひっ迫しても変わらない

 この数年、特に米国では、人事部門やDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の専門家にとってジェットコースターのような状況が続いている。#MeTooやブラック・ライブズ・マター運動で盛り上がった機運は、大量離職やそのすぐ後に生じた経済の先行き不透明感、利益の縮小、人員削減の必要性に対する企業の関心が高まるにつれて衰退していった。同時に、政治的な攻撃に脅かされて、DEIへの取り組みから手を引く企業もあった。

 2020年春から2023年夏までヴァイス・メディアのチーフピープルオフィサー(CPO)を務めたデイジー・オージェ=ドミンゲスは、これらの変化に対応する最前線にいた。以前にムーディーズ・インベスターズ・サービスやグーグルで働いた経験を持つベテランの人事担当幹部である彼女が、直面した課題と今後の展望について語る。

編集部(以下色文字):2020年にヴァイスに着任した時、DEIに対するヴァイスの姿勢はどのようなものでしたか。