クレドーは経営の羅針盤

編集部(以下色文字):ジョンソン・エンド・ジョンソンはこれまで、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を積極的に推進してきました。DE&Iの推進は目先の売上げや利益に直結するとはいえません。企業に短期的な成果が求められる中、なぜ続けられていると思いますか。

関根(以下略):ジョンソン・エンド・ジョンソンは1886年に創業されましたが、最初の社員の14人中8人が女性です。創業時からDE&Iの精神を持ち、それが受け継がれてきたので、DE&Iの推進を特別なものととらえることはなく、違和感なく進められてきたというのが正しい理解だと思います。

 当社の精神を象徴するのが、1943年に起草された「我が信条(Our Credo)」(クレドー)です。クレドーでは4つの責任が示されています。第一の責任が顧客、第二の責任が社員とその家族、第三の責任が地域社会、そして第四の責任が株主に対するものです。クレドーは私たち社員にとって、事業環境や自分の置かれている状況が変化したとしても、そこに立ち戻ることのできる原則論です。