
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
不確実な状況下でも部下のやる気は高められる
昨今、多くの組織を取り巻く乱気流は激しさを増しており、リーダーの仕事もそうした激変と無縁ではなくなっている。たとえば、世界の不確実性を測る「世界不確実性指数」(WUI)は長期的な上昇傾向にある。そうした状況で、クレイトン・クリステンセンの「ジョブ理論」に基づいて次のように問いかけると、どのような答えに行き着くだろうか。「私たちは何のためにリーダーを雇うのか」「リーダーが対処すべき課題(=ジョブ)とは、どのようなものなのか」
この問いに対する一つの答えはこうだ。私たちがリーダーを雇うのは、不確実な状況を乗り切るための導き手を務めさせることが目的だ、というものである。政治思想家のアイザイア・バーリンが言うところの「秩序があり、容易で、満足感があり、自己継続的な均衡」の状態は、机上の存在でしかない。不確実性こそが確実な状態なのである。そのため、リーダーに対する需要は常に大きい。しかし、リーダーの地位に就いている人たちは、期待された役割を本当に果たせているのだろうか。
通常のレベルの不確実性の下で、通常の範囲内の好調と不調を経験しながらリーダーシップを振るうことと、ここ数年のように、変化や混乱、混迷、さまざまな脅威が積み重なっていく状況でリーダーシップを振るうことを、同列に論じるわけにはいかない。