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生成AIを他のテクノロジーと違う形で扱う
組織は生成AI(人工知能)に膨大な金額を投じて、革新的な活用を他社に先駆けて実現しようと競い合っている。だが、多くの組織は障壁に直面している。
その原因は、まだ登場して間もないこのテクノロジーのよく知られた弱点ではなく、アプローチの根本的な欠陥にある。彼らは生成AIを、従来型の自動化の一形態ととらえており、時とともに賢くなる(そして人間をも賢くする)支援エージェントと見なしていないのだ。
インターネット、モバイルコンピューティングやクラウドプラットフォームの登場によって示されたように、革新的なテクノロジーの価値を十分に引き出すには、それを既存のビジネスプロセスにただ統合するのではなく、プロセス自体を全面的に再構築することが求められる。生成AIは上記のイノベーションよりもさらに革新的となりそうだが、その潜在能力を最大限に引き出すには、業務の遂行方法を再設計する必要があるという点では同様だ。
しかし企業が直面している問題は、生成AIは従来のテクノロジーと同じようには機能しないため、従来のプロセス再設計の方法が十分に通用しない可能性があることである。
ユーザーは、人間の同僚に対するのと同じように生成AIと「会話」をする。生成AIはユーザーと反復的に協働する。そしてユーザーのニーズと振る舞いを学習しながら、継続的にやり取りの質を向上することができる(反対にユーザーも、生成AIから学習できる)。
生成AIの効果的な統合に向けて、筆者らは「対話のための設計」(Designing for Dialogue)という新しいパラダイムを提唱する。
従来のテクノロジー主導によるプロセス再設計の原則は、人間の能力を機械に置き換えることを重視した。対話のための設計はこれとは違い、テクノロジーと人間が責任を流動的に共有できるという概念に根差している。プロセスを通して、それぞれが状況と強みに応じて異なる部分で主導する。実質的に、生成AIを固定的なテクノロジーではなく、同僚のように扱うのだ。