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外部からの圧力があなたの感情を操作する時
筆者の元クライアントのサラは、献身的で勤勉な仕事ぶりで知られる経験豊かなプロフェッショナルだった。彼女の上司は、膨大な仕事量に苦労したという個人的なエピソードをサラに話し、もしサラが追加の仕事を引き受ければ、真の忠誠心とチームへのコミットメントを示し、組織のリーダーシップに好印象を与えられるとほのめかした。
サラはそれまで以上に義務感を持ちはじめ、罪悪感とストレスも募らせていった。そして、追加の仕事を引き受ければ自身の幸福感や成果にまで影響が及ぶにもかかわらず、ノーと言うのは裏切りであり、コミットメントの欠如だと感じるような状況に追い込まれていった。
この問題について筆者と議論するうちに、サラは深い気づきを得た。それは、感情的知性(EI)は時に諸刃の剣となるということだ。つまり、彼女はEIのおかげで思いやりのあるリーダーになれる一方、同時に「感情操作」のターゲットにもなりかねないのである。
生活のあらゆる側面に言えることだが、職場は感情の相互作用にあふれている。自分と他者の感情を理解・管理する能力であるEIは、共感にあふれた会話や理解を可能にする素晴らしい能力だ。しかし、EIを素晴らしいものにしている特性そのものが、他者を操るための武器になってしまう場合もある。本稿では、職場における「感情操作」の見分け方や防ぎ方、対処法について解説しよう。
感情操作を認識する
高いEIを持つ人は、他者の脆弱性や不安に気づき、それにつけ込む可能性がある。大多数の人はそうした理解力を支援を行うという目的のために使うだろうが、感情操作を行う人はそれを武器にして、相手の罪悪感や恐怖心、義務感を刺激するのである。彼らは自分の利益に合致する場面では相手への共感を演出し、理解や思いやりのオーラを出して、心理的安全性が存在するかのように偽る。サラの上司の言動もこれに当たる。