-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
コンセンサスを求めすぎると重要な機会を逃す
大手ハイテク企業のベテラン幹部であるスニルは、謙虚なことで知られていた。自分の功績を自分の手柄にすることはめったになく、チームと称賛を分かち合うことを好み、意思決定をする前には常にコンセンサスを求めた。
彼のアプローチは前向きなチーム環境を育む一方で、特に重要な意思決定の場面では、優柔不断だと思われた。問題が最も大きくなったのは、スニルが十分なコンセンサスを得ずに行動することを躊躇したために遅れが生じ、会社に利益をもたらす市場機会が失われた時だ。これがスニルの転機となり、複雑な真実を浮き彫りにした。すなわち、謙虚さは美徳ではあるが、リーダーシップにおいては時として諸刃の剣となるのである。
謙虚なリーダーシップの特徴として、間違いや知らないことを進んで認めること、成功の手柄を分かち合う傾向があること、そして他人の貢献に感謝することがある。このリーダーシップのスタイルは、自己認識と他者への敬意、そして個人の成功よりも集団の成功に重点を置くことの上に成り立っている。調査によれば、謙虚なリーダーはチーム内の従業員エンゲージメント、信頼、協働を増大させる。このようなリーダーは親しみやすく、フィードバックに対してオープンであると見なされ、継続的な改善と適応の文化を促す。
しかし、謙虚さに関しては、「過ぎたるは及ばざるがごとし」という格言も当てはまる。エグゼクティブコーチとして企業のトップや新任のリーダーを指導してきた筆者は、謙虚さを強調しすぎると権威が低下するケースをいくつも見てきた。スニルのようなリーダーは、謙虚さと自己主張の微妙なバランスを取って力を発揮できるようになる必要がある。謙虚さがリーダーの有効性を妨げる3つのパターンを解説しよう。
1. 優柔不断だと思われる
こうしたイメージを持たれる理由は、チームメンバー全員の意見を尊重しようとするあまり、迅速な意思決定よりもコンセンサスを優先してしまうためだ。謙虚なリーダーは意思決定プロセスを民主化したいのだろうが、時に、毅然とした態度を取りたがらない、あるいは戦略ビジョンに確信がない証拠だと誤解される。





