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アライシップの失敗に対する不安を乗り越える
歴史的に有利な立場にあるグループのメンバー(白人、男性など)が、相対的に不利な立場にあるグループのメンバー(人種的少数派、女性など)を支援するアライシップ行動は、職場にインクルージョンを生むために不可欠である。
しかし、善意あるマネジャーと幹部の多くは、その方法を間違えることへの不安で身がすくむ思いをしている。それも無理はない。近年の企業とビジネスリーダーによるダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)の推進に向けた大々的な試みの中には、見事に裏目に出たものがあるからだ。
たとえば、ウォルマートはジューンティーンス(奴隷解放記念日)を祝うために、「記念版:ジューンティーンス・アイスクリーム」を発売した。批判者らは、米国の奴隷制の終焉を記念するこの祝日を、巨大小売企業が軽々しく扱って利益を得ていると厳しく非難した。この商品は黒人所有のアイスクリーム会社、クリーマリシャスの商品に似ていたことも非難に拍車をかけた。ウォルマートは謝罪して商品を撤去した。
また、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラは女性に対し、昇給を直接願い出るのではなく「よいカルマ」を待つよう助言したことで批判された。おそらく善意に基づいているとはいえ、この助言は実態を把握していないと見なされたのだ。のちに彼は謝罪し、平等な賃金を後押しすることを明確にした。
注目を集めた上記の事例を含むアライシップの失敗例は、多くの善意ある人々を不安にさせている。アライ(味方)になって不公平に対処しようとする自分の取り組みも、ほかと同じように不十分であり、支援対象の人々に感謝されていないのではないか、と。
あなたが男性幹部で、次のことに気づいたとしよう。同僚の女性は、ほかの幹部らによって頻繁に話をさえぎられる。一方、同等職の男性は話をさえぎられることはない。この性差別的な振る舞いに対処するために、あなたは介入すべきだろうか。
介入して助けたいかもしれない。だが、本心からの行為ではないと見られることが心配でもあり、介入してもプラスよりマイナスのほうが大きいのではないかと感じるかもしれない。
あるいは、あなたは白人従業員で、米国の黒人に対する暴力事件をニュースで読んでいるかもしれない。黒人の同僚に、支援のために何ができるか尋ねるべきだろうか。何を言っても事態を悪化させるのではないか、と不安になるかもしれない。
筆者らは新たに発表した研究の中で、このような懸念が往々にして見当違いであることを立証している。アライシップの取り組みは、概して潜在的アライが思う以上に感謝される。アライシップを実行できるさまざまな状況について詳しく検証した一連の10の研究から、一貫してこの傾向が明らかになった。