生成AIで成功したければ、いますぐデータ整備に着手せよ
Illustration by Carl Godfrey
サマリー:多くの組織が生成AI(人工知能)に関心を持ち、取締役会や経営陣、従業員がその活用を模索しているが、生成AIを機能させるために必要なデータ戦略の構築やデータ管理にはまだ着手できていない。2023年後半に実施され... もっと見るたアンケート調査とインタビューによると、最高データ責任者(CDO)やデータエンジニアたちは生成AIへの熱意はあるものの、活用の準備に向けてやるべき仕事が山積みであることが明らかになった。本稿では、この調査結果の詳細とともに、データに関して今後取るべきステップについて述べる。 閉じる

データ戦略の構築やデータ管理は遅れている

 多くの組織が生成AI(人工知能)に熱い関心を寄せ、活用に向けて動いている。取締役会は教育研修を実施し、自社に行動を促している。経営陣は、どのようなユースケースを開発すべきか考えている。個々の従業員と部署は、このテクノロジーで生産性とパフォーマンスをどのように向上できるかを実験している。

 しかし、生成AIで成功するための真に重要な仕事は、最高データ責任者(CDO)、データエンジニア、ナレッジキュレーターの肩にかかっている。そして残念なことに、彼らの多くは必要な仕事に取りかかってさえいない。

 2023年後半、組織のCDOとデータ担当リーダーら334人を対象とするアンケート調査(アマゾン ウェブ サービスおよびマサチューセッツ工科大学(MIT)最高データ責任者・情報品質シンポジウムによる後援)と、同幹部らへの一連のインタビューが実施された。その結果、彼らもご多分に漏れず生成AIへの熱意はあるものの、活用の準備に向けてやるべき仕事が山積みであることが明らかになった。

 とりわけデータの整備に関して言えば、企業は生成AIを自社で機能させるために必要となる新たなデータ戦略の構築やデータ管理にまだ着手していない。本稿では、この調査結果の詳細とともに、データに関して今後取るべきステップについて述べる。

熱意はあるが、生成AIによる価値創出はまだ少ない

 2023年は、多くの組織がAIへの認識を新たにし、その潜在能力に驚嘆した年であった。AIがこれまで扱うことができたのは、行と列で示された数字などを典型とする構造化データだ。しかし生成AIは、テキストや画像、動画といった非構造化データを用いて、非構造化データを新たに生成したり、再合成したりする。このため、人間のコンテンツ制作者のアシスタントになることもあれば、ライバルにもなる。