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職場の儀式の価値を見直す
「ギブ・ミー・ア・W! ギブ・ミー・アン・A! L! 〜! M! A! R! T!」
どこの会社の従業員がこのかけ声を出すように求められているのか、まだわからないという人は、この後に種明かしがある。「誰のウォルマート? 私のウォルマート!」。従業員は、「〜」(当時はWalとmartの間にハイフンがあった)での腰の振り方まで具体的に指導される。
これをやらされることを想像してぞっとしたのは、あなただけではない。「軍隊のようであり、半分クンバヤ(黒人霊歌)のようでもある」と評されたこともある。「ワークプレース・リチュアル」(職場の儀式、慣例)という言葉を聞くと、全員参加の研修でよくやらされるトラストフォール(チームメンバーが支えてくれると信じて、台の上から後ろ向きに倒れる典型的なチームビルディングのエクササイズ)などの苦い記憶が甦る人も多い。
しかし、職場の儀式を完全に否定するのは間違いかもしれない。10年間にわたる筆者自身や他の研究者の研究をまとめた筆者の新著The Ritual Effect(未訳)では、その価値が再確認できる3つの重要な知見を取り上げている。第1に、人々が参加していると報告する職場の儀式の多くは、会社から強制されたものではなく、実際には従業員たち自身がつくり上げたものである。第2に、我々の反射的な反応とは裏腹に、職場の儀式は、職場での日常にメリハリをつけ、意味を与えるのに役立っている。仕事を始める時や、ストレスのかかる会議やプレゼンの前に活用し、チームツールとして頼りにし、仕事を切り上げる時にも活用している。そして第3に、おそらく最も重要なことだが、こうした儀式は、ワークライフバランスの維持や、チームの生産性の向上など、実際の利益と結びついていることが多い。
日常に儀式を取り入れる利点
儀式の浸透と有用性を実証するために、『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)の読者にワークプレース・リチュアルに関するアンケートへの協力を呼びかけた。ワークプレース・リチュアルとは、「自分にとって意味があるから、繰り返し行うようにしている行動」と定義した。23カ国の平均年齢48歳(24歳から70歳まで)の読者140人近くから回答を得た。その回答を以下のカテゴリーに分類した。