AIをマーケターの日常業務に取り入れる方法
Yaroslav Danylchenko/Stocksy
サマリー:マーケターがAI(人工知能)と協働することは、リソースが限られる中で競争力を維持するために不可欠だ。フォレスターの調査によれば、約9割のマーケターがAIの利用拡大を望んでいるが、実際にAIを導入しているのは... もっと見る約5割に過ぎない。AIは単なるツールであり、マーケターがその可能性を試し、日常的に活用する習慣を持つことが重要だ。本稿では、再現可能な形で生成AIと人間の専門知識を組み合わせて効果的なキャンペーンを展開する方法を提示する。 閉じる

マーケターはいかにAIと協働すべきか

 マーケターの仕事に終わりはない。消費者から四六時中求められる期待に人間のマーケターの処理能力で対応するには、チームにさらに支援が必要であることをマーケティングリーダーはますます強く認識している。

 フォレスターが実施したアンケート調査によれば、マーケターの約9割は、リソースが頭打ちまたは減少する中で自社が競争力を保つためには、AI(人工知能)の利用を増やす必要があると考えている。それにもかかわらず、AIを適切に導入しているとの認識を持つマーケターは5割に留まる。この矛盾は意外なことではない。

 AIは、マーケターがただスイッチをオンにすればよいものではない。そして、自分が遂行できるタスクをAIで実施することに対し、間違った恥の意識が多少なりともつきまとうことは少なくない。「これをAIができるのであれば、私がもたらす付加価値は何なのか」と自問する人がいるのだ。しかし、AI自体は戦略ではなく、目的を達成するための手段である。

 マーケターにとって、AIに助けを求めることはグーグル検索と同じように自然な習慣であるべきだ。毎日意図的に新しいユースケースを試すことで、その欲求を高めることができる。全階層のマーケターが、あらゆる局面で一度立ち止まり、AIによって何かをより速く、より簡単に、より優れたものにできないかを問いかけ、次々と実験すべきである。

 AIに慣れ親しむことがマーケティングチームにいかに複合的なメリットをもたらしうるかを、筆者は直接目にしてきた。筆者が所属するインテュイット傘下にあるメールチンプ(メールマーケティングのプラットフォーム)のインハウスエージェンシー(専属の広告制作会社)であるウィンクは、2023年にAIを導入し、メールチンプにおいて史上最もインパクトのあるキャンペーンを展開した。この広告は、調査会社イプソスの測定で全世界のトップ5%に入る成果を達成した。

 我々は生成AIと人間の専門知識を組み合わせることで、より建設的に協働し、迅速に最適化し、メッセージをさまざまな市場向けに周到にローカライズした。実験への取り組み方が適切であれば、この成功は再現できると我々は確信している。以下がその方法である。

説明するのではなく、見せる

 2023年秋のキャンペーンに先立つ我々の調査では、データを十分に持つ先進的なマーケターでさえも、顧客に有意義な形でメッセージをパーソナライズするのに苦労していることが確認された。マーケターが抱えるこの問題(およびそのソリューションとしてのメールチンプの製品)を、30秒以内の広告でウィットと含蓄を込めて伝える必要があった。