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プロンプトの質を高めるために
筆者は先頃、大学生の娘にこう伝えた。エンジニアリングの道に進みたいのなら、従来のエンジニアリングの授業に加えて、哲学の勉強にも力を入れるべきだ、と。なぜなら、それがコードの品質向上につながるからである。
エンジニアがこのようなことを言うのは、意外に思えるかもしれない。だが、解決したい問題に対して明瞭なメンタルモデルを構築し、「どのように」に取りかかる前に「なぜ」を理解することは、特にこのAI(人工知能)時代にはますます必要不可欠なスキルとなっている。
コーディングは、AIが最も得意なことの一つである。AIはしばしば人間よりも品質の高いコードを書くことができ、その能力は急速に向上している。ご存知のように、コンピュータ言語は人間の言語に比べ、使う語彙がはるかに限定的だ。そしてAIモデルの複雑さは、AIによって理解される言語を表す記号体系の規模に応じて二次関数的に増えるため、語彙が少ないほど、より速く、より優れた結果につながる。
とはいえ、ここには多少の問題もある。AIによって生成されたコードは構文的および意味的には正しくても、機能的には正しくないかもしれない。つまり、きちんと動作はしても、ユーザーの望み通りのことを実行しない可能性がある。モデルのアウトプットは、プロンプトがどう書かれるかに強く影響を受ける。AIが生み出すコードがもっともらしく見える程度の問題で済めばよいが、プロンプトが的外れだと、最悪の場合、AIが生み出すコードが不正確で危険なものになってしまう。
プロンプトエンジニアリングと呼ばれる新たな専門分野では──現段階ではサイエンスよりもアートに近いが──ユーザーは望むことをAIに実行させるために、簡潔で表現力に富む効果的なプロンプトを手づくりする方法を学ぶ。さまざまなテクニックが存在し、たとえばフューショット(few-shot)・プロンプティングでは、AIを正しい方向に導くために、いくつかの例を最初に提示する。質問と答えを例示する場合もある。