転職を繰り返すほうが、同じ会社に居続けるより出世できるか
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サマリー:以前は会社への忠誠心の見返りとして、社員は出世することができた。しかし、1980年代に企業が管理職の階層を減らして以来、昇進の機会が減少している。そうした中で、転職が出世の階段を上り詰める近道だというのは... もっと見る本当だろうか。筆者の行った研究によれば、答えはノーである。本稿では、よくあるキャリアをめぐる言説の4つの嘘を明らかにし、将来のキャリアプランの参考になる転職に隠された現実を紹介する。 閉じる

転職は出世の近道か

 かつては忠誠心に対するごほうびとして、社員は組織の階段を上ることができた。だが、1980年代に企業が管理職の階層を減らすと、昇進の機会はますます少なくなった。エグゼクティブ(企業幹部)は、出世を目指して会社を移り始めた。転職支援サービスを手掛けるエグゼクネットの2009年の調査によると、幹部たちは、一つの組織に平均3.3年しか在籍せずに会社を変わる。社外転職は、社内転職(異動)のおよそ2倍に上る。

 しかし、会社を変えるのが出世の階段を上り詰める近道だというのは本当だろうか。筆者の研究によれば、答えはノーだ。それは、マネジャーがどのように出世するかを調べた研究で明らかになった、キャリアをめぐる4つの嘘の一つである。転職に隠された現実を知ることが、将来のキャリアプランの参考になる。

嘘その1:転職を繰り返す人は成功する

 会社を変えれば早く出世できるという考え方は、キャリアカウンセラー、つまり外部のチャンスに目を光らせろと助言する立場の人たちによって誇張されている。しかしデータによると、身軽に転職するエグゼクティブは、一つの会社に居続けるエグゼクティブより将来性があるわけではない。