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働きながら家族を営み続けることの多大な負荷
アミールとリアのカップルとの出会いは、いまから4年近く前に遡る。当時はコロナ禍の初期で、自宅でそれぞれに仕事をし、幼い子ども2人を抱えて奮闘していた。
いまでは子どもたちはともに小学校に上がり、スポーツに励んでいる。アミールとリアの仕事はハイブリッド型の勤務になり、出張が増えた。2人で最適なルーチンを確立しようと、いろいろ試してきた。だがそうした努力にもかかわらず、何か突発的なことが起きるのではないか、重要なリマインダーやお迎え、プランを忘れるのではないかとヒヤヒヤしながら新しい週へと突入している感じだ。
似たような話は山ほどある。アミールとリアは、筆者がこの5年間、アプリのミロ(Milo)を構築するに当たって出会った1000以上の家族の要素を合成した人物である。このアプリは、2人のような親が目に見えない「ロジスティックスの負荷」、すなわち「家庭を営むための舞台裏の作業」を管理するAI(人工知能)搭載ツールだ。
このロジスティックスの負荷は、働く親の家庭に、ますます重くのしかかっている。子どものスケジュールは、学校や課外活動、友人らとの交流など、イベントで盛りだくさんだ。親は親で、ハイブリッド型の勤務スケジュールや出張をこなすためにやりくりする日々を過ごす。メールやメッセージが瞬時に飛び交うこの時代には、大量の情報やリマインダーがひっきりなしに湧いてくる(クレイジーソックスデー<注:学校に個性的な靴下を履いていく日>、短縮授業、スイミングの申し込み登録など)。それと同時に、働く親が増えているため、何かあった時のセーフティネットは減少している。「何かあった時」とはたとえば、親が体調を崩したり、会議が長引いたり、予期せぬ宿題が出たりした時である。
筆者はカナダにいるさまざまな家族と関わる中で、毎週、ロジスティックスの難題の大部分を引き起こす3大要因を突き止めた。
・大量の情報 特に学校からの情報が多く、しかも家族それぞれに多くの予定があるので、毎週、思いがけないスケジュールのバッティングや忘れものが発生しやすい。