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生成AIを実装できず、実験のループに陥っている
いまや多くの企業が、従業員の生産性向上の取り組みと顧客とのやり取りにおいて、生成AI(人工知能)の実験を行っている。だが、本番導入に至っている企業はごくわずかだ。従業員のアップスキリング、プロセスの変更、テクノロジーの統合には依然としてハードルがあり、多くの企業は果てしない実験のループに陥っている。
この新しいテクノロジーを実装する適切な対象をなかなか見つけられない企業に向けて、筆者らは「顧客の声」に関するユースケースを推奨したい。つまり、あらゆるチャネルから寄せられる顧客の意見を解析し、解釈し、対応するための用途である。
「顧客の声」に関するユースケースは、従業員の生産性に関するユースケースほど多くの行動変容を必要としないため、通常は比較的容易に導入できる。また、顧客満足度の向上は金銭的利益につながることが多いため、経済的価値の向上も測定しやすい。
カスタマーサポートのコールセンターへの電話、メール、ソーシャルメディアでのメッセージ、営業担当者へのコメントなどを通じて顧客が自社に何を伝えているのかを、常に把握しておくことは間違いなく有益だ。
しかし、ほとんどの組織はこれまで、顧客のフィードバックを何らかの体系的な方法で捕捉、分析して対応することに苦労してきた。それらのコンテンツはあまりに大量で、構造化されておらず、確認と分析には膨大な労力を要し、対応は非常にばらばらで負担が大きかった。
ここで生成AIが役に立つ。活用に向けて企業が知っておくべきことを、以下に挙げよう。
顧客の声に対して生成AIができること
顧客への対応は一つのタスクではなく、実際には異なる複数のスキルを要する一連のタスク群だ。最初に、メールの文章、電話の音声やその他の方法で寄せられた顧客の声の中身を把握しなければならない。そして内容を分析し、フィードバックを分類する(苦情か、称賛か、要望か)。次に、対応について顧客に返答し、提起された関連事項に対処する必要がある。