就職時に条件交渉するリスクは、あなたが思うほど大きくない
HBR Staff/Pexels/Unsplash
サマリー:企業から採用を勝ち取ったら、次に行うのが条件交渉だ。しかし、多くの候補者は、採用が取り消される可能性を懸念して、交渉を避ける傾向があるという。これに対して筆者らの研究は、候補者が条件交渉による採用取り... もっと見る消しのリスクを過大評価しており、本来は交渉によってよりよい結果を得られるケースが多いことを示している。 閉じる

米国の社会人3338人を調査して判明

 あなたが興奮するような職務に採用されたとしよう。では、次に何をするか。給料や仕事の柔軟性、その他の待遇について交渉することを考えるかもしれないが、あなたは不安を感じている。「自分の要求が通らなかったらどうするか。あるいは最悪の場合、採用マネジャーが採用を取り消したらどうすればよいのか」と考えずにはいられない。

 学術誌『オーガニゼーショナル・ビヘイビア・アンド・ヒューマン・ディシジョン・プロセス』に掲載された筆者らの新しい研究では、求職者が交渉によって採用が取り消される可能性をどの程度正確に理解しているかを調査した。研究では、候補者とマネジャーの双方に、交渉した候補者が採用を取り消される可能性を推定してもらった。

 主に米国のフルタイムの社会人(多くは管理職経験者)3338人を対象とした7つの研究で、候補者の認識は一貫して誇張されていることが明らかになった。候補者が交渉した場合に採用を取り消される可能性については、マネジャーが考えるよりも候補者が考えるほうがはるかに高い。いくつかの研究では、求職者と採用マネジャーの回答を調査し、比較した。別の研究では、参加者を候補者役とマネジャー役に無作為に割り振り、対面またはオンラインチャットで交渉を行ってもらった。これらの参加者には、最終的な結果の特性や、合意に達したかどうかに応じてインセンティブを与えた。