
LV4260/Getty Images
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
サマリー:米国では人為的ミスが原因の交通事故で年間4万2000人が死亡しており、自動運転車の普及が期待されている。しかし、ドライバーは自身の運転技術を過大評価しがちで、自動運転車の導入に消極的な態度を取ることが多い... もっと見る。本稿では、このバイアスを克服するために自動車メーカーや政府が講ずるべき、エビデンスに基づいた5つの対策を紹介する。 閉じる
ドライバーは自分の運転技術が優れていると思い込む
自動運転車は莫大な数の人命を救うと期待されているが、みずからの運転スキルを過大評価している多くのドライバーは、自動運転車への切り替えに後ろ向きな態度を取りかねない。
自動運転車は、道路の安全を飛躍的に高める可能性を持っている。米国では、人為的ミスが原因の交通事故による死者が年間4万2000人に上る。自動運転車が普及すれば、そうした死亡事故の多くを防げるだろう。ところが、ほとんどのドライバーは、いまだに自動運転車の導入に消極的なままだ。性能、リスク、走行試験に関して合理的にさまざまな懸念を抱いている面もあるが、理由はそれだけではない。心理的バイアスの影響も大きいのだ。
『ジャーナル・オブ・ジ・アソシエーション・オブ・コンシューマー・リサーチ』誌に最近掲載された筆者らの研究により、自動運転車の受け入れを妨げているバイアスが浮き彫りになった。そのバイアスとは、自信過剰である。
実験参加者たちは、自動運転車が十分に信頼性と安全性を備えていると理解していた。しかし、それと同時に、ドライバーとしての信頼性と安全性に関しては、自動運転車やほかのドライバーたちよりも自分のほうが優れているとも考えていたのだ。この点は、自動車メーカーや政府が自動運転車の利点を消費者に訴える際、どのようにメッセージを発信すべきかを考えるうえでも無視できない要素である。