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冷静かつ共感的に意思決定をサポートする
アルナルドは成功している投資会社でCOOを務めていた。最近は会社の業績が予想を下回っており、その原因は、最高投資責任者のラスが保有し続けている大型投資にあった。アルナルドは、ラスにその損失を出している投資を売却してほしいという投資家からの電話を何件も受けていた。そのため、ラスがファンドのパフォーマンスについてのミーティングを求めた時、アルナルドは売却するよう説得する衝動に駆られた。問題を解決するためだ。
こうしたミーティングで同僚が重要な決断を迫られた時、多くの人は通常、問題解決モードになる。自分の意見を述べたり解決策を提示しようとしたりして、自分が解決すべき問題ではないのに解決に介入しようとする。
アルナルドが置かれた状況は、まさにそれだった。彼のキャリアも投資も、ラスのポートフォリオ管理と深く結びついており、投資家たちは不満を漏らしていた。しかし、ラスは投資の専門家であり、何を保有し、売却するかを決めるのは彼だった。アルナルドは、自分が投資の専門家ではないことを自覚していた。彼はこの決断に責任を負いたくなかったが、投資家の質問には答えなければならず、気まずさを感じていた。
2人が対面した時、アルナルドは問題を解決しようとする衝動を抑える必要があるとわかっていたが、その代わりに何をすればよいのかわからなかった。ラスが下す難しい決断を、アルナルドはどのようにサポートすればよいのだろうか。
それは、アクティブリスニングを実践することだ。
多くの人は「アクティブリスニング」という言葉を知っている。相手の合図に細心の注意を払い、言語的かつ非言語的に関与し、冷静で共感的であり続けるという、多くのスキルを組み合わせた技術で、実践するのは難しい。ストレスや葛藤を抱え、圧倒されているかもしれない意思決定者を支援したい時、そしてその決定が自分に直接影響する時は特にそうだ。
本稿では、アクティブリスニングを4つのタイプに分類し、意思決定者を支援する際にそれぞれのタイプを実行する方法を解説する。筆者は日頃から共同での意思決定に携わっているクライアントにアクティブリスニングによる支援を勧めており、中立を装うことが不快だが必要な時に役立つと考えている。
アクティブリスニングによる支援の4つのタイプ
意思決定の研究者、コーネル大学の教育者、調査報道ジャーナリストとしての仕事に基づき、筆者はアクティブリスニングによる支援の4つのタイプを特定した。それが感情的支援、情報的支援、分析的支援、内省的支援だ。どのタイプも自分の意見を述べたり、解決策を提示したりするものではない。注意深く耳を傾け、共感を持って対応することがすべてのタイプで求められる。