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大規模言語モデルで検索体験が劇的に変化する可能性
世界中の無数の消費者にとって、グーグルはオンライン検索のアクセスポイントだ。その結果、現在500億ドル規模の検索連動型広告市場で、グーグルは91%ものシェアを握る。だが、大規模言語モデル(LLM)の出現により、この領域で20年ぶりに大変革が起こる可能性がある。
なぜか。それは、LLMがブラウザー検索と劇的に異なる検索エクスペリエンスを提供するからだ。最大の違いは、ブラウザーでは検索キーワードを入れると関連リンクが表示されるのに対して、LLMでは回答が示されることだ。
今後は、チャットGPTやパープレキシティ(Perplexity)といったアプリや、グーグルの生成AI(人工知能)を使ったSGE(現AIオーバービュー)、マイクロソフトのコパイロットといった検索ポータルを使って、自然言語で示される回答を通じて商品やブランドについて知る消費者が増えていく。そのプロセスは、極めて助言的かつ会話的になるだろう。これは言わば新しい情報パイプラインであることから、マーケターは関連するプロンプトに対して、担当ブランドがきちんと表示されるとともに、正確な説明が回答に含まれるよう目を光らせる必要がある。
そのために、マーケターは次の3つの要素を測定するとともに、継続的に監視する必要がある。(1)担当ブランドがLLMのアウトプットに表示されるか否か、および表示される(または表示されない)可能性が最も高いのはいつか。(2)担当ブランドがどのように好ましく表現されているか、および製品にどのようなマイナス要因があるのか。(3)関連性の高いプロンプト全体における、競合他社と比べた時の担当製品やブランドの認知度。そのためには、関連する指標をテスト・開発するだけでなく、複雑化するプロセスを管理する新しいワークフローを構築する必要がある。
試しに「初心者に最も適したロードバイク」を検索してみると、新たな課題が明らかになる。パープレキシティに聞くと、総合的に最高の初心者用ロードバイクとして、「アベントン・レベル2」(Aventon Level 2)を推薦した。理由は、乗りやすい形状で、タイヤが太く、質の高いパーツが相応の価格で得られるからだという。一方、グーグルSGEでは、ジャイアント(Giant)の「コンテンド3」(Contend 3)またはスペシャライズド(Specialized)の「アレE5」(Allez E5)が推薦された。