戦略は創造性の度合いで4つに分類できる
Illustration by Pierre Buttin
サマリー：戦略フレームワークは、機会の魅力や戦略が機能するかを判断する場合に用いられることが多い。一方で、機会の特定や戦略そのものの創造には役立たないことが多いと筆者は指摘する。この欠点を補うために、本稿では戦...　もっと見る略や創造性に関する文献を分析することによって判明した、戦略の4つの分類方法について紹介する。　閉じる

戦略フレームワークの限界を補うための分類

　戦略フレームワークの問題点は、与えられた機会が魅力的かどうか、あるいは特定の戦略が機能しそうかどうかを判断する助けにはなっても、一般的にそもそも機会を特定したり戦略を練ったりする作業には役立たないことにある。著名な戦略論の専門家であるゲイリー・ハメルはこう述べている。「戦略業界の外聞の悪い事実は、戦略の創造に関する理論を持っていないことだ」

　この欠点を補うために、本稿では戦略や創造性に関する文献の綿密な分析に基づき、潜在的な戦略の分類を紹介する。突き詰めると、すべての戦略は4つのグループに分類され、ここでは創造性の最も低いものから最も高いものの順に記している。

1. 業界の成功戦略を改良する

　このアプローチの顕著な例は、ファストファッションのコンセプトを極限まで推し進めた中国のシーイン（Shein）だ。ザラやH&Mのような従来のファストファッション企業が毎週約500点の新製品を投入するのに対し、シーインは毎日1000点を投入する。同社の商品は競合他社よりも30～50％安い。また、他社とは異なり、シーインは実店舗を持たず、アプリとウェブサイトを通じてのみ商品を販売している。また、上流（トレンドの発見）と下流（生産の最適化）の両方で、広範囲にAI（人工知能）に依存している。この方式は大きな成功を収めており、2020～2022年に米国のファストファッション市場におけるシーインのシェアは18％から40％に上昇した。