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EV業界で続くバッテリー技術とインフラ網の開発競争
「航続距離の不安」は、消費者に電気自動車(EV)を普及させるうえで最も大きな障壁の一つとなっている。
たとえば、テスラの「モデル3」でパリから有名なモンサンミシェルまでの約360kmを運転したい場合、ルートを慎重に計画し、東に向かう前にパリ付近でテスラの充電設備「スーパーチャージャー」に寄る必要がある。道中にはスーパーチャージャーがほかにないからだ。
世界中でEVの販売台数が落ち込んでいるとはいえ(中国を除く)、EVの普及拡大は依然として、地球温暖化防止に向けたエネルギー転換の最も重要な選択肢の一つである。EVメーカーはどうすれば、消費者の航続距離の不安に対処して、よりよい移動体験を提供し、販売をさらに増やすことができるのだろうか。
一つの方向性は、充電の急速化と航続距離の延伸を含め、バッテリー技術を向上させることだ。2023年時点で、長距離用バッテリーは1回の充電で350マイル(約563km)を超え、急速充電技術は100マイル(約160km)分以上の電力を15分以内で充電できる。とはいえ、バッテリー技術向上の取り組みには多くの費用と時間がかかる。
中国EVメーカーのニオ(NIO、蔚来汽車)は近年、従来のアプローチに対し、バッテリー交換方式という興味深い代替手段で挑戦してきた。以下は同社が実践した方法である。
ニオはバッテリー交換方式をどう成功させたのか
自動車業界の連続起業家ウィリアム・リー(李斌)は2014年、高級スポーツカーのセグメントでテスラに対抗するための中国国産ブランドとして、ニオを立ち上げた。