
-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
消費者は宅配のサステナビリティコストに気づいていない
ネットショッピングには抵抗しがたい魅力がある。アマゾン・ドットコムが示してきたように、マウスをクリックしたり、ディスプレーにタッチしたりするだけで、ほとんどの商品を自宅に配達してもらうことができるのだ。eコマースの市場規模は過去5年で2倍以上に拡大し、その勢いがまだ続いているのも不思議ではない。
だが、自宅配送(宅配)には、一般には知られていないサステナビリティコストがある。消費者がその有害な影響に気づけば、ネットショッピングの持つ大きな魅力は薄れるかもしれない。筆者らの研究(ある学術誌への掲載に向けて査読中だ)によれば、オムニチャネルの小売業者は、この状況を利用して利益を増やし、よりサステナブルなビジネスを生み出して、アマゾンから市場シェアを奪える可能性があることを示している。
多くの消費者はサステナブルな選択に力を入れているが、その80%以上は、ネットで購入した商品を自宅に配送してもらうことがサステナビリティに与える影響を本質的に考慮したことがないか、理解していない。つまり消費者は、サステナブルな商品特性を重視する一方で、宅配により生じる梱包廃棄物やエネルギー消費、交通渋滞、あるいは安全性の問題に気づいていないことが多い。
より環境に優しく、社会的に意識の高い消費が好まれる中、自分が選んだ小売チャネルが、環境や社会のサステナビリティにダメージを与えることを消費者が明示的に知らされたり、思い出させられたりしたら、何が起こるだろうか。宅配とサステナビリティのトレードオフが明らかになったら、その消費行動は変わるのだろうか。
サステナビリティに関する情報開示で消費行動が変わる
この問いに答えるために、筆者らは、ネットショッピングの利用者に、無料の宅配か無料の店舗受け取りのどちらかを選択してもらう実験をした。幅広い特性の消費者を含むように、さまざまな場所(都市、郊外、田舎)に住む、人口統計学的にさまざまな属性(年齢、性別、教育、収入など)を持つ人200人を集めた。