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外部環境の絶え間ない変化に適応した企業変革とは
変革プログラムに取り組む企業は、いまや珍しくない。常に大企業の3社に1社以上が何らかの変革に取り組んでいる。しかし、大半の企業が用いてきた従来型の変革モデルは、変化のペースが速い今日のビジネス環境でうまく機能していない。ビジネスリーダーたちはいま、新しい変革アプローチを必要としている。求められているのは、たえず変化し続ける世界に適した手法だ。
従来型の変革の取り組みは、明確な始まりと終わりが定められたプログラムという形を取り、たいていの場合は、プログラムマネジメント部門の監督の下で進められる。この種のアプローチは、ドイツ系米国人の心理学者クルト・レヴィンが1950年代に提唱した変革モデルを土台にしており、3つの段階によって構成される。「解凍、変革、再凍結」の3段階である。
このモデルは、新しい給与システムの導入など、課題がはっきりしているプロジェクトを推進するうえでは有効だが、変化の激しい今日のビジネス環境には十分に対応できない。昨今は、外的環境の絶え間ない変化により、常に変革を続けることが求められるようになっている。立ち止まって再凍結し、変革を終わらせる暇などないのだ。
本稿では、筆者らのこれまでの研究と経験に基づいて、変革を継続的に推し進めるために有効な3つの重要な要素を紹介する。
1. アジリティ重視のマインドセットを採用する
旧来の「解凍、変革、再凍結」のアプローチは、暗黙のうちに、変革を一時的な混乱のごとく位置づけている。それと異なり、アジリティ志向のアプローチは、「再考、つくり直し、繰り返し」という原則を土台にしている。そのようなプロセスを通じて、高い水準の成果をたえず追い求めるのである。