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顧客に喜びと驚きを提供するための創造性
古い製品を再利用して新しい製品をつくるアップサイクルが流行している。
アウトドアメーカーのパタゴニアは、古いレインコートからトラベルポーチをつくっている。フライターグは、古いトラックの防水シートや中古車のシートベルト、廃棄された自転車のインナーチューブをスタイリッシュなバッグにつくり替えている。サウスウエスト航空は、航空機のレザーシートカバーでバッグや財布をつくり、家具ブランドのリドゥラボ(Redolab)は、ボトルやグラスからランプを、パレットからテーブルやスツールを、コーヒー豆の麻袋から枕をつくっている。
高級ブランドさえもこの分野に参入している。エルメスは自社のデッドストックの生地や素材から新製品を、フェラガモは古いプリント柄のシルクやアクセサリーから靴やベルトを、ランボルギーニは車の内装を生産する際に余った革でトートバッグや携帯電話ケース、キーホルダーをつくっている。
この動きは有名企業に留まらず、DIY愛好家の間で急速に拡大している。大手オンラインマーケットプレースのエッツィでは、「アップサイクル」のタグが付いた商品リストが、2010年の7900点から現在では約20万点に増加している。イケアはウェブサイトで自社製品のアップサイクルのアイデアを提案しており、消費者はそれを熱心に取り入れている。ピンタレストには消費者がアップサイルクしたイケアの商品が何百点も掲載されている。
アップサイクルは当然ながら新しい現象ではない。歴史を通じて、特に貧困国では、原材料の入手や購入が困難な人々が、アップサイクルに頼ってきた。たとえばキューバでは、扇風機やテレビアンテナなどは長い間、古いレコードやアルミの食品トレイを使って修理されてきた。こうした環境ではアップサイクルは必要なものだ。しかし、なぜ資源の豊富な先進国や大手企業でこの取り組みが広まったのか。
環境保護主義や持続可能性への関心の高まりが、アップサイクルの新たな人気の一因であることは間違いない。しかし、多くの消費者は、使い古された素材からつくられた製品を買うことに抵抗を感じている。そのような製品(古い航空機のシートからつくられたバッグ、古いコーヒー豆の袋からつくられた枕など)を使うことを考えると、反発や嫌悪感さえ覚えるかもしれない。さらに、古い素材を使った製品は、品質や機能性が劣ると考える消費者も多い。こうした懸念が広くあることを考えると、持続可能性という動機だけでその懸念を克服し、アップサイクル製品の成功を説明できるだろうか。
筆者らは最近、これらの懸念を補い、アップサイクル製品の魅力を説明できる可能性のある意外な要因を特定した。エッツィの消費者からのフィードバックを分析したところ、消費者がアップサイクル製品に最も価値を見出すのは、その持続可能性ではなく、創造性であることがわかったのだ。アップサイクル製品をデザインし、販売することを望む企業は、この発見を心に留めておく必要がある。
アハ体験
筆者らの研究では、アップサイクル製品と非アップサイクル製品を区別する特性を明らかにするため、両方の製品のカスタマーレビュー2000件以上を調査した。その結果、アップサイクル製品に対するコメントは、非アップサイクル製品に対するものよりも、創造性や持続可能性に関して言及する頻度が高かった。興味深いことに、アップサイクル製品のレビューの74%が創造性について言及していた一方で、持続可能性について言及しているのは10%にすぎなかった。