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割引をより魅力的に見せるにはどうすべきか
割引は、小売業者が売上げを伸ばすために活用する重要なプロモーション戦術の一つだ。2023年に米国でオンラインショッピングを利用した消費者の4分の3は、割引が購入の意思決定の決め手になったと語っている。
割引は、ライバル業者から顧客を奪い、消費者の購入金額を増やし、消費者に本来なら買うつもりがなかった商品を買わせる効果がある。とりわけ割引が大きく物を言うカテゴリーは食品だ。消費者の90%は、セールになっている時に食品の買いだめをしていると述べている。
このように、割引が消費者の意思決定に非常に大きな影響を及ぼしているように見えることを考えると、小売業者が売上げを伸ばすうえでは、この販促手段の有効活用が極めて重要になる。どのような割引の仕方が有効な割引といえるのかについては、直感的には、割引の小さい商品よりも割引の大きい商品のほうが購入されやすいように思える。
実際、そうした考え方の下、小売業者は割引を大きく見せるためにあの手この手を駆使している。たとえば、割引前の価格と割引後の価格を併記する時、割引前の価格を左側に、割引後の価格を右側に記すとか、割引後の価格を異なる文字サイズで表示するとか、いわゆる「左端桁アンカリング効果」(販売価格を3.00ドルとせずに2.99ドルとすると、左端桁の数字が3ではなく2になる結果、「安い」という印象が大幅に高まる)といった手法だ。また、小売業者はたいてい、割引率を切り上げて切りのよい数字にして表現したがる。「6.8%安くなっています」ではなく、「7%安くなっています」と書く場合が多いのだ。