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出社に関する議論を対立型にしてはいけない
グーグルやファーマーズ・インシュランス、ウォルト・ディズニー、UPS、ボーイング、IBM、アマゾン・ドットコムなど幅広い業界の著名企業が、従業員に出社勤務の再開を義務づけ始めた。ただ、その伝え方は、形式も論調も多様で、たいてい従業員の置かれた状況に無頓着で、ひどければ敵対的あるいは絶対的な響きさえある。当然、こうしたメッセージは、従業員の反発やソーシャルメディアでの猛烈な批判を招く。最近、ネット情報企業インターネット・ブランズのCEOの動画メッセージが大炎上したのがよい例だろう。
出社勤務と柔軟な働き方は、どちらも優れたメリットがあるだけに、バランスの取れたポリシーをつくるのは容易ではない。マイクロソフトとスペースX、そしてアップルの最近の調査では、出社勤務命令をどのように伝え、実施するかは、とりわけ勤続期間の長い従業員の離職率に大きな影響を与えていることがわかった。どうすれば、このような事態を防げるのか。一つわかっているのは、企業が従業員と対話を持ち、最も重要な成果は何かを正直に明らかにすべきという点である。
エグゼクティブや従業員の話を聞いて明らかになったのは、見落とされがちだが、この問題の位置付け方、つまりどのように提示するかがカギになることだ。問題や状況をどのように意味づけるかによって、客観的な事実がどのように受け止められるかは変わってくる。さらに正確に言うと、重要なのは位置づけ直すことだ。当たり前に受け止められている認知的位置付けを、より有用な位置付けに意図的に置き換えるのである。たとえば、厄介な状況を、問題ではなくチャンスと位置づけるといった具合だ。
柔軟な働き方に関する会話の位置付け方
社会科学の研究から、問題をどのように位置づけるかが、結果に大きな影響を与えることがわかっている。ある問題を、プラス効果ではなくマイナス効果に基づき位置づけると、結果に影響を与える。契約交渉においても、パイはこれ以上増えないと考えるか、双方にプラスになる結果をもたらせると考えるかによって、その形は変わってくる。成長マインドで考えるか、凝り固まった考え方をするかで、難しい目標の達成や学習は変わってくる。