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紹介によって顧客を獲得することの有効性
既存顧客に新しい顧客を紹介してもらうことの有効性は、昔からよく知られている。人々は、自分の家族や親戚、友人などからの推薦に信頼を置くものだからだ。しかし、筆者らが行った新しい研究によると、その有効性は、マーケターや研究者が以前考えていたよりも大きいようだ。
筆者らがあるキャッシュバックアプリの会員4100万人以上のデータを検討したところ、既存会員の紹介でアプリに登録した会員は、それ以外の経路で登録した会員より多くの商品を購入することがわかったが、効果はそれだけに留まらなかった。既存会員の紹介でアプリに登録した会員は、それ以外の会員と比較した場合、みずからが紹介によって呼び込む新規会員の数が(ほかの活動の影響を除外して考えたとしても)30~57%多かったのである。
筆者らは、この新たに見出された現象を「紹介の伝染」(referral contagion)と名づけた。既存顧客からの紹介によってあるブランドを利用するようになった顧客は、さらに多くの新規顧客を紹介で呼び込む場合が多いのだ。
筆者らは、ヨガを学びたい人とヨガ講師をつなぐプラットフォームである「マイ・ヨガ・ティーチャー」のデータを調べ、同様の傾向を確認した。そして、この傾向が見られるのは、友人や知人の紹介によりユーザーになった顧客のほうがより多くの人たちにプラットフォームを紹介しているからだとわかった。また、紹介マーケティングのソリューションを提供するインパクト・ドットコム・アドボケートのデータを調べた結果わかったのは、「紹介の伝染」が家庭用品から保険に至るまで幅広い業種で見られるということだった。
「紹介の伝染」は、なぜ起きるのか。筆者らのデータによると、この効果を引き起こす要因としていくつかの説明ができそうだ。
人間同士のつながりにおける同類性に注目する
たとえば、ホモフィリー(同類性)が中心的な役割を果たしている可能性が高いと言える。ホモフィリーとは、人間が自分と似た人たちとつながりを持つケースが多いことを表現する言葉だ。ある顧客があなたの会社のブランドを気に入ったとすれば、その人の友人たちも似た傾向を持つ場合が多く、その友人たちもあなたの会社の製品やサービスを気に入る可能性が高い。そのため、その顧客は自分の友人たちにあなたの会社の製品やサービスを紹介しようと思う確率が高まるのだ。