韓国ブランドに学ぶ、価値を高め続ける4つの成功法則
Drew Angerer/Getty Images
サマリー:韓国は、20年にわたる戦略的な取り組みにより、文化大国に成長した。Kポップやドラマ、映画、ゲーム、Kビューティなどが世界的な成功を収め、経済に大きく貢献している。その発端は、1994年の調査報告書を受け、当時... もっと見るの金泳三大統領が文化産業の発展を決意したことによる。こうしたKブランドの成功には、莫大な投資以外にも、起業家やブランドマネジャー、そしてマーケティングエグゼクティブが学ぶことのできる共通の秘訣がある。 閉じる

大ヒット映画1本の利益は、乗用車150万台分の利益に等しい

 韓国はこの20年で、世界の文化大国に躍り出た。BLACKPINK(ブラックピンク)やBTS(防弾少年団)といったKポップグループは、いまや世界的なメガスターだ。BTSは韓国経済に、推定50億ドル相当の貢献をしているとされる。ネットフリックスで配信中のドラマ『イカゲーム』は、公開初日から30日間の再生回数が全世界で1億1100万回を超え、ネットフリックスの記録を塗り替えた。韓国映画やドラマは国際的な賞を次々獲得し、国内では現代アートのイベントが世界的な注目を集め、韓国のゲーム産業は世界第4位の規模を誇る。さらに、Kビューティ(韓国発の化粧品など美容アイテム)の市場規模は、2030年までに183億2000万ドルに達する見込みだ。

 だが、勘違いしてはいけない。地政学的に重要な資産となったKブランドの成功は、単に運がよかったからではない。20年にも及ぶ有効な戦略とその実行が、世界でも指折りの魅力的なブランドを生み出したのだ。

 1994年、金泳三大統領のもとに、1通の調査報告書が提出された。大ヒット映画1本の利益(分析の対象となったのは『ジュラシック・パーク』だった)は、現代自動車の乗用車150万台分に等しいという内容だ。そこで金は韓国を、それまで国際競争力を築く基礎となってきた中位の機能性商品を製造する国から、世界の文化大国へと変身させることを決意した。

 長年にわたる多大な努力により、文化体育観光部(一般的な国の省庁にあたる)の予算は2022年に60億5000万ドルと、フランス文化省の1.3倍以上(2022年度予算は約46億ドル)に達した。さらに、韓国コンテンツ振興院(KOCCA)などの新しい政府機関が、外国から投資を誘致した(ネットフリックスだけで韓国コンテンツに25億ドルの投資を発表している)結果、韓国のソフトパワーはいちだんと高まった。

 Kブランドの成功には、莫大な投資以外にも、起業家やブランドマネジャー、そしてマーケティングエグゼクティブが学ぶことのできる共通の秘訣がある。

1. 消費者に楽しくてスピーディな発見をもたらす

 韓国の革新性を説明する時、巨額のR&D投資(2021年はGDPの4.9%相当額)や、都市部の人口密度の高さを指摘する専門家は多い。こうした要因が、最新の製品を見せびらかし、「一番に手に入れる」ことを重視する競争環境を生み出してきたというのだ。