完全な自動化よりも、人間とロボットを協働させたほうがよい理由
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サマリー:倉庫・物流企業における筆者らの研究によると、人間とロボットを組み合わせることで、完全なオートメーションを実装した場合よりも生産性が向上するという。ロボットは一度に大量のタスクを処理できるものの、単にそ... もっと見るの数を増やしても性能が向上しないからだ。本稿では、人間とロボットの協働が、働き手の生産性を高め、疲労を軽減し、仕事の満足度を向上させる理由を説明する。 閉じる

これからのオートメーションの行く先

 ビジネスのあらゆる領域で、オートメーションの導入が拡大している。スタティスタの予測によると、たとえば倉庫・物流の分野におけるロボティクスを活用したオートメーションの市場規模は、2021年には全世界で79.1億ドルだったが、2030年には510億ドルを突破する見込みだ。

 eコマースにおいても、これまでロボットは顧客の期待に応えてきたといってよいだろう。ロボットによる自動注文対応ソリューションの中には、拡張性に優れていて、倉庫の一つの通路内で1時間当たり最大1000点の商品の収納および取り出しを行えるものも登場している。

 しかし、この種のシステムがいくつかの側面で壁にぶつかっていることも見落とせない。完全オートメーションの物流センターは、注文処理スピードが非常に速いものの、複数のロボットがたちまち互いの邪魔をし始める。ロボットの数を単に増やすだけでは、注文対応のスピードを高められないのだ。