
Sergey Narevskih/Stocksy
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サマリー:1990年代のウォルマートは急速に国際展開を進めたが、2006年にドイツと韓国から撤退し、20億ドル以上の損失を出した。この失敗は、消費者の文化的嗜好や価値観を無視した結果ともいえる。では、ビジネスリーダーは、... もっと見るウォルマートのような失敗を避け、自社ブランドの海外展開を成功させるために、どのような戦略を取るべきか。本稿では、グローバル市場で信頼され、海外の消費者にとって魅力的なブランドを構築するための「REACHモデル」を紹介する。 閉じる
ウォルマートとベストバイのグローバル展開失敗に学ぶ
1990年代のウォルマートは、世界的な巨大企業へと成長する勢いを持っていた。1980年代を通じて米国内市場で急成長を遂げたウォルマートは、1991年にメキシコシティに初の海外店舗をオープンし、1994年にはカナダにも進出した。1998年までにはドイツと韓国にも参入し、「いつでも低価格」という同社のビジネスアプローチで外国の事業者との競争に打ち勝てると考えていた。
しかし、それから10年も経たない2006年には、国際的な野望の縮小を余儀なくされた。その年のわずか3カ月の間に、同社はドイツと韓国から撤退し、両国の事業で20億ドル以上の損失を出した。
何が悪かったのか。そして、その失敗から私たちは何を学ぶことができるだろうか。
こうした疑問に答えるには、1980年代に遡る必要がある。当時、多くの企業リーダー、ジャーナリスト、社会科学者は、グローバリゼーションの進展が地域間の文化や価値観の衝突に終止符を打つ、という魅力的なストーリーを信じていた。政治学者のフランシス・フクヤマは1992年、すべての国が自由民主主義と自由市場資本主義を採用し、世界は「歴史の終わり」を迎えたと宣言した。ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、トーマス・フリードマンは、国家にマクドナルドの店舗が十分できれば、平和と民主主義の価値観は後からついてくると論じた。