ESG格付けのバイアスをいかに正すべきか
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サマリー:ESG投資が急増している。2020年には米国の運用資産の3分の1を占め、2025年には50兆ドルを超えるという予測もある。しかし、ESG格付けには特定の業界や企業に偏った構造的バイアスが存在し、投資が「測定の罠」に陥っ... もっと見るている。ESG投資が本来の社会的インパクトを達成するためには、格付けの改善が必要だと筆者らは主張する。 閉じる

ESG格付けに存在するバイアス

 世界の投資家の間で、投資の金銭的なリターンだけでなく、投資した資金がより広範な社会的インパクトをもたらす能力も考慮するような投資手段を求める人が大幅に増えている。この傾向は、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資を金融セクターの最前線に押し上げている。ESGに関連する資産は急増しており、2020年12月には米国の専門家が運用する資産51兆ドルの3分の1を占め、2025年には50兆ドルを超えるという予測もある。

 その中で取り組むべき重要な問題は、すでに30兆ドルを超える資産を運用する指針となるESG格付けに構造的なバイアスが存在することだ。

 筆者らの研究によると、ESG格付けと、それに関連する投資は、格付けの一部として使われる指標が特定の業界や特定の種類の企業に体系的に偏っていることから生じる「測定の罠」に陥っている。

3つの測定の罠

 このバイアスが生じるパターンは3つある。