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若手の昇進を左右するリーダーとのスポンサー関係
スポンサーシップ、つまりリーダー(スポンサー)が若手(スポンサリング対象者)の後援者として昇進につながる措置を取る関係は、従業員が上級管理職に昇進するうえで不可欠だ。スポンサーシップが自然に生まれる場合もあるが、多くの場合は違う。これは、リーダーが忙しいことに起因する場合もあれば、スポンサーシップは自分の仕事ではないと考えていることに起因している時もある。だが、多くの場合、こうした状況は、リーダーが自分と外見や考え方、行動が似ている人物を、スポンサリング対象者に選びがちであることに起因する。このため女性や非白人など一部のグループは、スポンサーが見つからない状態が慢性化している。スポンサーシップの利点が十分明らかになっていることを考えると、この問題はすべての関係者にとってマイナスとなる。そこで多くの企業がいま、スポンサーを制度的に割り当てるスポンサー制度に投資している。
だが、ひとたびスポンサーとスポンサリング対象者のペアが成立すると、人間関係づくりは本人同士に任される。筆者が設計し、フォーチュン500に提供しているスポンサーシッププログラムでは、スポンサーと「話すネタが尽きた」という声が、スポンサリング対象者から定期的に寄せられる。プログラムが終わる時まで、どうすればスポンサーとつながりを維持できるのかわからないというのだ。また、疑念を抱いた時はペアリングを解消して、スポンサーシップが成功する可能性を制限したり、終わらせたりする傾向がある。
本稿では、スポンサリング対象者が、割り当てられたスポンサーとの関係を維持するための4つの戦略を紹介する。特に、ハイブリッド勤務を採用している企業や、従業員が世界中に散らばっている企業などで、オンラインスポンサーシップが展開されている場合、これらの戦略は永続的なつながりを構築する上で決定的な違いをもたらす可能性がある。
メンタリング、コーチング、スポンサーシップを統合する
熱心なスポンサーやスポンサリング対象者は、初顔合わせの時からキャリアアップについて話すことで(それが最大の目的だと考えているからだ)、自分の熱意を示そうとすることが多い。だが、これはリスクを伴う場合がある。多くのスポンサリング対象者、とりわけマイノリティ集団に属する人が、自分の能力開発ニーズを全面的に明らかにできるようにするには、まず、心理的安全性の基礎を築く必要がある。その一方で、スポンサリング対象者が最初から昇進の希望を明言すると、スポンサーはプレッシャーを感じるおそれがある。