Francesco Carta fotografo/Getty Images

職場では、外交的な人の方が高い評価を得やすい。では生まれつき内向的な人が、外交的に振る舞うためにはどのようなことに注意すれば良いのだろうか。本稿で筆者らは、どのような外交的振る舞いが自身の負荷となるかを知り、疲労が蓄積しすぎる前に、充電時間を設けるべきと説く。

外交的ではない人が外交的に振る舞う時、注意すべきこと

 現代の職場は、外向的な人のためにできている。外向的な人のほうが給料が高く、昇進スピードが速く、同僚や上司から高い評価を得る。このため、多くの従業員が「さらに外向的になりたいのです」と口にする。キャリアアップのため、ネットワークづくりのイベントやスピーチなど、外向的な活動に参加するよう奨励されることは驚くに値しない。だが、生まれつき外向的ではない人にとって、外向的な振りをすることは本当に報われるのだろうか。

 研究によると、生まれつき内向的な人でも外向的に振る舞えば、一時的に気分が高揚し、元気が出る。たとえば、実験室で行われた一連の研究では、参加者が外向的な活動をするグループと、さほど外向的でない活動をするグループに無作為に分けられた。すると、外向的なグループに参加した人は、実験直後により高いレベルの幸福感を覚えた。筆者らが実際の職場で行った研究でも、同様の結果が示された。つまり、いつもの自分よりも外向的に行動した人は、気分がよくなり、幸福感が増し、よりエネルギッシュに感じたのだ。

 ただ、筆者らの研究でも、他の研究でも、自分らしくない振る舞いを続けると、長期的には疲れ果ててしまうことがわかっている。ある研究では、内向的な人が外向的に行動すると、短期的には気分や活力が高まるものの、本来の自分の性格や好みと一致しない行動を取っているため、わずか1時間でエネルギーレベルが大幅に下がり、結局、このような行動をとったことでもたらされる恩恵は損なわれることがわかった。これは、本来の自分よりも外向的に振る舞うことによる精神的負担の大きさを物語っている。しかもその負担は、一時的な恩恵以上に、長期的なマイナス効果をもたらす場合がある。

 たとえば、ネットワークづくりのイベントは、仕事面での成長を促してくれる人たちと出会ったり、より仕事に打ち込んだりする機会になるかもしれない。だが、内向的な人にとって、イベントに参加することは非常に大きな疲れをもたらし、ストレスがたまり、得るものも得られず、結果的にキャリアやウェルビーイングの面でのプラスが打ち消される可能性がある。

 もちろん、生まれつき内向的な人でも、外向的な行動を取ることで恩恵を得られる場合もある。だが研究は、このような活動を控えめにする重要性を示しており、本来の自分よりも外向的に振る舞うことを選択した場合は、必ず充電時間を設けることが重要だとしている。