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重要なポストが空席となり、その有力候補になったものの、最終的には選ばれなかった経験はないだろうか。前評判が高く、その気になっていた人ほど、昇進できなかったときの落胆は大きい。そのまま情熱を取り戻せず、退職する人も珍しくない。筆者は、失意のまま会社を辞める前に立ち止まり、自分が取りうる選択肢を整理することを提案する。本稿では、昇進できなかった際に自問すべき7つの質問が示される。
重要なポストへの昇進をほのめかされて浮かれていたのに、結局選ばれずに意気消沈した。そんな経験はないだろうか。
私は、マイクロソフトの後継者計画を指導し、その後も企業幹部のコーチングを行うなかで、落選した候補者に見られがちな、ある感情に気づいた。そしてドリームジョブ(理想の仕事)に手が届かなかったクライアントに、自己再生術を実践させてきた。
大企業で部長を務めるトルガーを例に取ろう。新卒で入社し、短期間で幹部職に昇進した。最後の昇進から1年半後、上司が会社を辞めること、その後任候補の一人に自分を推薦したことを本人から告げられ、驚いた。
最初は自分にはまだ早いと思ったが、悪い気はしなかった。名前を挙げてもらえただけで光栄であり、自分よりも年配の候補者が「新しい上司になっても納得できる」と私に言っていた。
ところが、何度か面談を重ねるうちにトルガーはその気になり、応募を決めた。経歴書を更新し、昇進面接での売り込みを考え、いざ選任されたときの引き継ぎについても考えた。だが、最終選考の3人には残ったものの、トルガーは任命されなかった。最初こそダメで元々という気持ちで臨んだトルガーだったが、最後は思いが高まり、自分よりも経験のある外部採用者に負けたことに深く落胆した。
これは、実績があっても重要なポジションに就けない内部社員には、よくある話だ。意気消沈し、自分の株が下がったように感じ、昇進に失敗した自分を周囲がどのように思っているのだろうかと気にする。また、元の仕事に対する情熱を失うこともよくあり、元のポジションから降りたり、会社自体を辞めてたりしまうこともある。
3週間後、トルガーは最初の衝撃を乗り越え、先のことを考える余裕が出ていた。私と一緒に検討した選択肢は、次の通りである。状況に応じて、誰もがこの選択肢から選ぶことができる。
以下の質問に答えながら、次のステップを決めてほしい。
●いまの仕事や新しい上司から、まだ学べることがあるか?
まだ学べることがあると思えたら、もう一度元の仕事を見直してみよう。昇進面接を経験して、気持ちのうえでは、いまのポジションを卒業したように感じているかもしれない。トルガーの場合、国際ビジネスに関しては、その道のベテランである新しい上司から、まだまだ学ぶことがあると思い直した。
●いまの仕事に対する不満、足りないものは何か?
この質問に答えたら、望ましい状態をつくり出す行動を取ろう。リーダーシップのエキスパートであるバリー・オシュリーが言うように、「最初から関わった人は協力者になるが、あとから関わった人は良し悪しの判定者になる」。人員を増やし、重要案件を成功させたいのであれば、そのビジネスケースを示すのもよいし、構造改革を望んだが非現実的であることが明らかになったのなら、いよいよ転職か、という気持ちが高まるだろう。
●現実的に考えて、変化にどのくらいの時間が必要か?
「暫定モード」でいる具体的な期限を決める。たとえば3ヵ月。仕事のことより、この次を探すほうに意識が向いてしまうかもしれないが、しばらく静観する意味はあるだろう。トルガーの場合、1年間は新しい上司の下で働くことにし、その間、継続して自分のチームや担当ビジネスを育成した。10ヵ月経ったが、トルガーはふたたび仕事を好きになり、新たな責任も与えられ、仕事の幅を広げている。
●現在、自分が最も情熱を注いでいるものは何か?自分にしかできない貢献は何か?
それが何であれ、いまは消耗する仕事を減らし、ワクワクできるような社内の別の仕事を検討する、最高のタイミングである。私の別のクライアントは、上司が会社を辞めたとき、つなぎの部門長を務めた。外部から新規採用された正式な部門長も専門分野は同じだったが、スケールで優っていた。クライアントは、同じ領域の仕事を上司と重ならないように注意して行う代わりに、技術寄りの役割に徹することにした。クライアントは初心に戻って革新に励み、新しい上司は管理面の整備に注力できた。
●いまのレベルでも、まだ学び貢献できることが多いと思うか。同じ仕事ならば社内の別の部署のほうがワクワクしないか?
この2つの質問に答える前に、選任されなかった理由について、周囲からフィードバックを得よう。どちらの質問にもイエスと答えた人は、異動を検討しよう。元の役割に戻ることに楽しみを見出せない、あるいは新しい上司の下で仕事をするのが難しすぎる、という答えならば、別の部署の似たようなポジションを考えよう。大きな組織にいて実績を上げてきた人は、社内人脈を活かすときだ。
●これまでの経験を活かしつつ、レパートリーも広げられるような、一石二鳥の上級職は他にないだろうか?
もっと活躍している自分をいったん想像してしまったあとでは、いまの立場が窮屈に感じられることもあるだろう。別の上級職に応募することを考えよう。たとえば、CTOからCIOへの異動。どちらも技術的な知識が必要だが、CIOになれば、顧客に関わる課題に直接取り組める可能性が高まる。CIOは、真夜中にCEOから製品の不具合に関する電話を受けてひやりとする人も多いというが、顧客への共感という視点から新たな発見を得て、それをもとに製品設計に影響を与えていく――そして、完璧な職務経歴書を築くまたとない道でもある。
●いま、頭打ちのような状態に陥っていないか?外部採用者によいポジションを奪われ続けていないか?
どちらの答えもイエスの人は、いまの会社を去ろう。昇進が叶わなかったことで、はっきりわかったかもしれない。現在の行き詰まった状態が長く続きすぎていること、あるいは、みずからのキャリア形成に消極的になってしまっていることに。その選択には熟考が必要ではあるが、もし希望する仕事に選任されなかった経験が初めてでないのなら、また外部の候補者よりも評価されていないと感じるなら、次は自分が他社の外部採用者になる順番かもしれない。
***
魅力的なポジションの候補者に挙げられることは、胸躍ることではあるけれども、必ずしも希望が叶うわけではない。立ち直りの最初の段階では辛い時期があって当然であると理解できれば、楽になる。回復するための時間と環境を設けてから、昇進面接で聞かれた質問とは逆の質問をして、次のステップを評価しよう。
HBR.org原文:You Didn't Get That Internal Job You Really Wanted. Now What? December 10, 2019.

サビーナ・ナワズ(Sabina Nawaz)
CEOおよびエグゼクティブへのコーチ、リーダーシップに関する基調講演者、ライター。26ヵ国以上で活躍し、フォーチュン500企業、政府機関、非営利団体、学術機関の最高幹部にアドバイスを提供している。TEDxを含む国際会議やセミナー、イベントなどでの講演数は数百回に上る。HBR.orgに加えて、FastCompany.com、Inc.com、Forbes.comにも寄稿している。ツイッター(@sabinanawaz)でも発信している。
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