Illustration by Ana Yael / Owl Illustration Agency

自分は自分、他人は他人だと思っても、能力に差がないはずの同僚が昇進したり、仲間が起業して活躍するのを目にしたりすると、自分はひどく劣っているのではないかと不安に陥ることは少なくない。劣等感を抱き、自信を喪失すると、前に進むことさえできなくなる。だが、競争にはモチベーションの源になるというプラスの側面があることを忘れてはならない。本稿では、自己肯定感を取り戻し、大事な競争でよい結果を出すための方法を教える。


 自分と似ていると思っている人に先を越されるのは、けっして愉快なことではない。先人の教えにもある通り、「競う相手は他者ではなく自分」であるべきだ。だが、それは口で言うほど簡単ではない。

 ソーシャルメディアの台頭によって、人とつながっている限り、同僚の活躍を知らずにいることは難しい。しかし、それがよい方向に働くこともある。最近の調査によれば、仕事と私生活の両方でモチベーションの源泉になりうることが示されている。

 では、どうすれば自分を他人と比べて不安に陥ることなく、競争のポジティブな側面を活かせるのだろうか。以下に5つの方法を紹介しよう。

 ●トリガーを突き止める

 自分が仲間に後れを取っていると感じることによって生じるストレスは、1日を通してさまざまな形で現れる。「上司が同僚をほめているのを目撃した」といった一時的なものもあれば、「同僚が会社を辞めて起業するのを横目で見ている」といった持続的なものもある。

 何がきっかけで自分を他人と比較してしまうのか考えてみよう。上司がほかの誰かを支持するのを見て、劣等感にさいなまれる。ある特定の友人が何かを達成すると、打ちのめされたような気分になる。あるいは、リンクトインやフェイスブック、インスタグラムをチェックすればするほど、不安感や孤独感が募る。

 もしそうだとしても、それはあなただけではない。調査によると、ソーシャルメディアの利用は人間が持つ負のバイアスに拍車をかけ、ポジティブな経験よりもネガティブな経験に重きを置くようになるという。

 何が比較の引き金になっているのか、そこに注意を向けることはきわめて重要だ。なぜなら、それがトリガーだとわかれば、反応の仕方を生産的に変えるチャンスにできるからだ。