では、正しいバランスを取るにはどうすればよいのか。
まず、自分をよく見つめることが第一歩になる。さまざまな社会的状況で、自分がどのように感じるのか。また、さまざまな外向的な活動から回復するにはどのくらいの時間が必要かを自問する。
ある人には回復効果がある活動も、別の人にはストレスになるかもしれない。したがって自分に合ったアプローチを取り、さまざまなオプションを試して、自分にとって最も効果的な方法を見つけることが重要だ。
さまざまな行動が、自分にどのような影響を与えるかわかったら、次は、自分の社交的なエネルギーの水準を維持するために役立つ、研究に裏付けられたテクニックを採用するとよい。
積極的に休憩時間を設けることは、外向的に振る舞ったのちに充電時間を確保するよい方法だ。バラク・オバマ元米大統領は、内向的な性格だが、仕事上スピーチをしたり、他のリーダーとミーティングをしたり、公的な場で討論をするといった外向的な(つまり彼にとっては疲れる)活動に従事する必要があった。このため、「一人の時間」を確保することが充電に欠かせなかったと語っている。マインドフルネスや瞑想が役立つという人もいれば、日記を書くことが疲労を処理し、最も疲れる状況について考えることでインサイトを得て、不安やストレスを和らげる有効な方法になる人もいる。
何より重要なのは、疲れ切ってしまってから、「外向的行動の二日酔い」を治そうとしないことだ。忙しいスケジュールの合い間の昼寝や、カフェインやアルコールへの不健康な依存といった応急処置では、問題は解決しないし、長期的にはストレスが大きくなるだけだ。それよりも、自分に一番合った戦略を見つけ、疲労困憊する前にそれを組み込むことだ。つまり、自分の場合、どの活動がエネルギーを消耗するか、あるいは回復できるかを判断し、それに応じた計画を立てて、目標達成を目指しつつ、持続可能なエネルギーレベルを維持するのだ。
外向的に振る舞うことによる仕事へのメリットは否定できない。現代の多くの職場で昇進するためには、一定の外向的振る舞いが必要だ。それは重要な会議でのスピーチかもしれないし、カクテルパーティーでの雑談かもしれない。あるいはミーティングで発言するだけかもしれない。生まれつき外向的でない人にとって、外向的に振舞うことは、エネルギーをもたらすよりも、疲れが蓄積する。そして時に、外交的に振る舞うことで得られるメリットとは逆の効果をもたらすおそれがあることを、研究は示している。
したがって、外向的に振る舞う人たちにいきなり加わるのではなく、どのような社交活動がエネルギーとなるのか、また、どのような社交活動がプラスよりもマイナスをもたらすか考えてみよう。重要なのことは自分の限界を知り、自分の「社会的バッテリー」を賢く使い、必要な時に充電する時間を確保することなのだ。
"Stop Telling Introverts to Act Like Extroverts," HBR.org, October 17, 2022.