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失われゆく貴重なスキル
今日、働く人や職場はかつてないほどの変化の中にある。企業の人材不足は深刻で、その理由はさまざまだ。高い離職率や従業員の意欲の低下、リモートワークやハイブリッドワークへの急激な移行、ベビーブーム世代の引退が続いていること、テクノロジーの急速な進化などである。重要なポジションの多くで高いスキルと経験、社会的な能力が求められる。しかし、単純に経験の浅い人たちを雇って訓練したり、AI(人工知能)を活用したりすることでは、こうしたニーズを満たすことはできない。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以降、労働参加率は低下してきた。一方で、雇用創出は拡大している。アメリカン・ワークス・データセンターによると、2023年秋の時点で、求人数は950万件だったが失業者は650万人しかいなかった。製造業や卸売業、小売業、教育、それにあらゆる種類の医療サービス業では、関連する経験を持つ採用候補者よりも求人数のほうがはるかに多く、場合によっては2倍にもなっている。たとえば、米国の医療業界で働く人は、2026年には320万人不足すると予測されている。
しかも、この問題は世界的に起こっている。最近、マンパワーグループが世界の雇用主3万9000社を対象に実施した調査によると、人材が不足していると答えた企業の割合が、2013年は35%であったのに対し、2023年にはこれまでで最高の77%となった。