組織に雇われない働き方の変化と拡大

 あるスポーツ用品会社で最高テクノロジー責任者(CTO)を務めるマルタは、自身が率いるチームのオペレーションに関する評価指標に目を通すと、技術面の能力に「問題あり」という評価が続いていることに危機感を覚えた。

 同社の取締役会は、新たに台頭してきた競合企業にじわじわと市場シェアを奪われていることを憂慮しており、マルタには激しい重圧がかかっていた。デジタル領域の能力をよりいっそう高め、対話型AI(人工知能)を導入することで、商品の市場投入までの時間を加速させるよう求められていたのだ。

 しかし、社内の人材には高度な専門知識も経験もなく、自社の商品や業務プロセス、データおよびセキュリティインフラを大きく変えることはできなかった。しかも、自社の採用チームがかなりの好条件を提示しても、テック企業からトップレベルの専門家を引き抜くことはできずにいた。