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自然生態系を正確に測定し、評価する重要性
サステナビリティ運動は、企業がもたらすプラスとマイナスの外部性、つまり従来の財務会計には表れない、企業が世界に与える影響をどのように説明するかという大きな課題に直面している。投資家、消費者、規制当局などのステークホルダーが、企業のフットプリント拡大に関する透明性と説明責任をますます求めるようになっているため、ビジネスリーダーがこうした影響を理解することは極めて重要だ。特に環境のサステナビリティに関しては、自然を正確に測定し評価することが、戦略的意思決定、リスク管理、長期計画に不可欠になっている。
米海洋大気庁(NOAA)のような政府科学機関は、企業が「自然をどのように評価するのか」という基本的な問いに対する答えを出すことを支援する役割を担う。自然の生態系がもたらす価値を定量化することで、企業は新たな投資機会を見出し、革新的な金融商品を開発し、環境悪化に伴うコストを深く理解できるのだ。
サラ・カプニックは、NOAAのチーフサイエンティストである。NOAAは自然生態系を測定・評価するための科学的基準と低コスト技術の開発に取り組んでいる。企業が世界の海洋の健全性を理解し、評価するうえで、NOAAはどのような役割を果たしているのか、カプニックがビデオ会議で『ハーバード・ビジネス・レビュー』(HBR)に語った。本インタビューは、発言の趣旨を明確にするために編集を加えている。
NOAAが開発する自然生態系評価の低コスト技術とは
なぜ政府の科学機関が会計の問題に関与するのですか。

自然を正しく評価するには、科学が必要です。そして生物多様性に関して言えば、私たちは重大な岐路に立たされています。生態系を保護するための政策と資金が必要なのは言うまでもありませんが、市場開発の裏付けとなる影響を測定し、定量化するための科学的基準も不可欠です。しかし、企業や科学界はこの問題に単独で取り組んでおり、生物多様性のために必要な資本を流入させる突破口はまだ見つかっていません。科学は完璧である必要はありませんが、世界的に拡張可能なコストと展開の容易さで、測定可能な生物多様性への影響をもたらす行動を起こすようにする必要があります。私たちは、このギャップを埋めようとしています。
そうした測定がどのように開発されているのか、例を挙げて教えていただけますか。