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米国でDEIは死んだのか
企業におけるDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に関心を寄せる専門家やリーダーたちは、重大な問いに直面している。それは、「米国でDEIは死んだのか」という問いである。
たしかに、DEIに対する現在の攻撃は、主に経済的理由によってプログラムが縮小された10年前を超えているように見える。いまでは、DEIを制限する法律により、DEI部門全体が大幅に削減されつつある。また、メディアが執拗に「DEIは攻撃にさらされている」「社会正義を重視する企業姿勢が経済を衰退させる」と書き立てるため、DEIを公然と擁護することが不安に感じられるような風潮が生み出されている。
しかし、考慮すべき別の見方もある。それは、DEIは、社会運動の研究者が「閉ざされた扉」と呼ぶ時期に入っているという見方だ。「閉ざされた扉」とは、変化への明白な道筋を容易にたどれない状況である。
スタンフォード大学VMware女性リーダーシップ・イノベーション・ラボは最近、14人のCDO(最高多様性責任者)を集め、彼らの世界でいま起こっていることを明らかにする話し合いを開催した。このグループは、6つの業界と、従業員数数千名から30万人超まで、幅広い規模の企業の代表者をしていた。DEIのリーダーたちが、この「閉ざされた扉」と呼ばれる時代に、自身の仕事をどのように捉え、取り組み続けているのか、筆者らが得た知見を以下に紹介する。
社会運動についてわかっていること
社会運動研究では、運動の勢いを左右する重要な要素として、社会運動集団が目的を達成するために利用できる手段やルール、つまり「機会構造」を挙げている。運動に有力な支援者がいる場合、世論が運動に味方している場合、反対運動が比較的静かで落ち着いている場合には、機会構造は開かれていると考えられる。